人面瘡は、おできや腫れ物が人の顔となり、夜になると話し、飲食を求めるとされる妖怪病です。『伽婢子』に記された不気味な怪異を解説します。

人面瘡(じんめんそう)
概要
人面瘡は、体にできた腫れ物やおできが、やがて人の顔になるとされる妖怪病です。
初めは普通のおできのように見えても治らず、化膿した傷口が裂けると、目・鼻・口を持つ人の顔になるといいます。
夜になると口をきき、水や食べ物、酒を求めることもあるため、ただの病気ではなく、体に別の人格や怪異が宿ったような恐ろしさがあります。
姿
- 人の体にできる、おできや腫れ物の姿で現れる。
- 化膿して裂けた傷口が、人の顔のような形になる。
- 目、鼻、口を備えた顔として描かれる。
- 顔は酒を飲むと赤くなったように見えるという。
- 発生する部位は一定せず、体に生じる怪異として語られる。
能力・習性
- 切り取っても、何度も生え直す。
- 夜になると話し出す。
- 水や食べ物を求める。
- 酒を注がれると、酔ったような反応を見せる。
- 食べ物を与えると、口を動かして食べる。
- 病人の心を追い詰め、強い不安や苦痛を与える。
代表的な伝承
- 『伽婢子』には、人面瘡についての記述がある。
- 初めは治らないおできのように見える。
- やがて傷口が裂け、人の顔へ変わる。
- 切り取っても繰り返し生え、夜には言葉を発する。
- 水や食べ物を要求し、人間と同じように飲食したという。
- 酒を飲ませると顔が赤くなり、食べ物を与えると口を動かしたとされる。
各地のバリエーション
なし
現代作品での登場
- OVA『ブラック・ジャック』KARTE 9「人面瘡」
人面瘡を、医学・心理・人格の問題と結びつけて再構成したエピソード。民俗上の怪異を、そのままではなく現代的な医療サスペンスとして扱っている。
リンク
- 白井智之『おやすみ人面瘡』
人面瘡の名を冠した長編ミステリ。古典怪異をそのまま再現した作品ではないが、不気味な身体怪異のイメージを現代ミステリへ引き寄せた題名として印象的である。
リンク
別名
- なし
関連妖怪
- 応声虫
腹部に口のようなものが現れ、食べたり話したりする奇病の原因とされる虫。人体に別の口や意思が現れる点で近い。
- 二口女
後頭部に第二の口を持ち、食べ物を求める女の怪異。人面瘡と同じく、人体の一部が意思を持って飲食する点で関連する。
- 疱瘡神
疱瘡をもたらすとされた病の神。人面瘡が妖怪病なら、疱瘡神は病を人格化した災厄神として比較しやすい。
- 疫病神
疫病や災いをもたらす神。人面瘡とは姿や性質が異なるが、病の恐怖を怪異として捉える点で共通する。
妖怪検定ポイント
- 読みは「じんめんそう」。
- おできが人の顔になる妖怪病。
- 『伽婢子』に記される。
- 夜になると話し、水や食べ物を求める。
- 切っても何度も生え直すとされる。
- 二口女、応声虫と関連が深い。