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逃げても追いつかれる?足の速い妖怪10選|風のように走る怪異たち

※本記事には広告(PR)が含まれています。

妖怪の中には、怪力や変身能力だけでなく、人間では逃げ切れないほどの俊足を持つものがいます。

風のように山中を駆ける怪物、自動車を追い越す都市伝説、何度引き離しても先回りする小僧――その速さの表現もさまざまです。

この記事では、足の速さが伝承や記録で確認できる10体を紹介します。

なお、空を飛ぶだけの妖怪、瞬間移動する妖怪、転がって移動する妖怪は原則として除外しました。

また、「風のように走る」「自動車を追い越す」「100メートルを数秒で走る」など、記録された表現の基準が異なるため、速さの順位はつけていません。

 

 

1.口裂け女――バイクでも逃げ切れない都市伝説

分類:現代妖怪・都市伝説

口裂け女は、マスクを着けた女性の姿で現れ、「私、きれい?」と尋ねてくる都市伝説です。

「きれい」と答えるとマスクを外して裂けた口を見せ、「これでも?」と問いかけます。答え方によっては、刃物で襲われるともいわれています。

足の速いポイント

口裂け女には、「自転車やバイクより速く走る」「100メートルを数秒で走る」といった噂があります。

100メートルを5秒、3秒、0.5秒、9.9秒で走るなど、地域や語り手によって異なる数字が語られます。

これらは実測された記録ではなく、口裂け女の噂が広がる過程で生まれたバリエーションです。噂が拡大するにつれて、走る速さも誇張されていったと考えられます。

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2.人面犬――自動車を追い越す人面の犬

分類:現代妖怪・都市伝説

人面犬は、人間の顔を持つ犬のような妖怪です。

夜の道路や高速道路、ゴミ捨て場などに現れ、人間の言葉を話すともいわれています。特に1980年代末から1990年代初頭にかけて、都市伝説として広まりました。

足の速いポイント

人面犬は、自動車と同じか、それ以上の速さで走るといわれています。

中には時速80キロメートル以上で走り、自動車を追い越したという噂もあります。

もちろん実測値ではありませんが、自動車社会を背景に生まれた妖怪らしく、その速さも「人間」ではなく「自動車」と比較されています。

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3.異獣――大荷物を運び、風のように山へ帰る

分類:山の怪異・異獣

異獣は、江戸時代の越後国に現れたとされる、全身を毛に覆われた人型の怪物です。

鈴木牧之の『北越雪譜』には、山中で荷物を運んでいた竹助という男を異獣が助けた話が記されています。

異獣は人間の言葉を話しませんが、竹助から荷物を受け取ると、それを担いで村の近くまで運びました。

足の速いポイント

荷物を運び終えた異獣は、竹助と別れると、風のような速さで山中へ去ったと記されています。

険しい山道を自在に移動できるだけでなく、人間の荷物を担げる力も持っていました。

異獣は人を襲う怪物ではなく、山中で困っている人間を助けることもある、珍しい俊足の怪異です。

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4.一本だたら――一本足なのに目で追えない山妖怪

分類:山の妖怪

一本だたらは、紀伊半島を中心に伝わる一本足の妖怪です。

一本足で一つ目の姿、熊のような姿、鍛冶職人を思わせる姿など、地域によって形態や伝承が異なります。

雪の上に、大きな一本足の足跡を残すともいわれています。

足の速いポイント

和歌山県の大塔山に伝わる一本だたらは、一本足でありながら非常に足が速いとされています。

類似する伝承には、飛ぶように跳ねて移動し、その姿を目で捉えられないほど速いというものもあります。

ただし、俊足という特徴はすべての一本だたら伝承に共通するものではなく、紀伊半島周辺に残る一部の伝承です。

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5.疱瘡婆――三メートルの巨体で風のように逃げる

分類:疫病・墓場の妖怪

疱瘡婆は、宮城県七ヶ浜町周辺に伝わる怪異です。

身長は約三メートルあり、赤い顔と白い髪を持つ老婆の姿だったといわれています。

墓場に現れて墓石を動かし、埋葬された死体を持ち去っていたとも伝えられています。

足の速いポイント

猟師たちが墓場を見張っていたところ、疱瘡婆が現れて墓石を動かし始めました。

猟師が火を灯して姿を照らすと、疱瘡婆は風のような速さで逃げ去ったといいます。

その後、村では疱瘡が流行し、疱瘡婆を見たこととの関係が噂されました。ただし、あくまで村に伝わった怪異譚であり、疱瘡婆が実際に流行病を起こしたという意味ではありません。

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6.提灯小僧――何度抜いても追い越してくる小僧

分類:道の妖怪

提灯小僧は、宮城県仙台市周辺に伝わる妖怪です。

小雨の降る夜道に提灯を持った小僧の姿で現れ、その顔は真っ赤だったといわれています。

人を襲ったり命を奪ったりする妖怪ではありませんが、不気味な行動で通行人を困惑させます。

足の速いポイント

提灯小僧は、夜道を歩く人を後ろから追い越すと、少し先で立ち止まって待っています。

人が提灯小僧を追い越して先へ進んでも、再び追い抜かれ、また前方で待たれます。

具体的な速度は伝わっていません。しかし、相手がどれだけ先へ進んでも追いつき、繰り返し追い越せることから、人間より速く移動できる妖怪と考えられます。

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7.狒々――怪力だけでなく俊足の人食い猿

分類:山の怪物・猿型妖怪

狒々は、長い年月を生きた猿が変化したともいわれる巨大な怪物です。

人間を襲って食べるほか、村へ若い女性を生贄として要求する怪物として、各地の退治伝説に登場します。

怪力を持ち、普通の人間では簡単に倒せない存在として描かれています。

足の速いポイント

中国最古の字書の一つとされる『爾雅』では、狒々は人に似た姿を持ち、髪を振り乱して素早く走り、人を食べるものと説明されています。

日本の退治伝説では怪力や人食いの性質が中心となりますが、古い中国の記録では俊足も重要な特徴でした。

数値で表せる速さではないものの、狒々は力と速さの両方を備えた山の怪物です。

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8.羅刹――地上を素早く走る「速疾鬼」

分類:外来鬼神・仏教の護法神

羅刹は、インド神話や仏教に登場する人食いの鬼神です。

サンスクリット語の「ラークシャサ」を音写した名称で、男性を羅刹、女性を羅刹女と呼ぶことがあります。

仏教では、人を襲う恐ろしい鬼神としてだけでなく、仏法に帰依して守護神となった存在も語られます。

足の速いポイント

羅刹には「速疾鬼」という別名があります。

浄土宗大辞典では、羅刹は空を飛ぶだけでなく、地上を素早く走る鬼神として説明されています。

飛行能力を持つ妖怪は数多くいますが、羅刹は地上での俊足もはっきり示されている点が特徴です。

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9.魃――一本足で風のように駆ける旱魃の怪

分類:中国由来の妖怪・災厄神

魃は、中国に由来する、日照りや旱魃をもたらす存在です。

人のような顔と獣のような体を持ち、手と足が一本ずつしかない姿で描かれることがあります。

魃が現れた土地では雨が降らなくなり、草木や作物が枯れてしまうと考えられていました。

足の速いポイント

『和漢三才図会』などでは、魃は手足が一本ずつしかないにもかかわらず、風のように速く走るとされています。

一本足の妖怪というと、跳ねながら不自由に移動する姿を想像しがちです。しかし魃は、その外見からは想像できない俊足を持っています。

日本固有の妖怪ではなく、中国の文献や伝承を通して日本へ伝えられた怪異です。

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10.天狗――暴風と競って谷を駆けた山の異人

分類:山の妖怪・山岳信仰

天狗は、山伏の装束を身につけ、赤い顔と長い鼻を持つ姿で知られる妖怪です。

山の神や山中の異人、仏教を妨げる魔物など、時代や地域によってさまざまな性格を持っています。

空を飛ぶ能力や、突然姿を消す能力も有名です。

足の速いポイント

茨城県の筑波山にまつわる記録には、巨大な赤衣の僧侶が、暴風と競うような速さで谷を移動したという話があります。

目撃者は最初、その姿を「足の速い人」だと思いましたが、後に山人または天狗だったと聞かされたといいます。

これはすべての天狗に共通する能力ではなく、筑波山周辺に残された一つの伝承です。それでも、空を飛ぶのではなく、谷を俊足で移動する天狗の姿が語られている点で注目できます。

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まとめ|妖怪の速さは時代とともに変化する

昔の妖怪伝承では、圧倒的な速さを「風のように走る」「飛ぶように去る」と表現することが多くありました。

異獣、疱瘡婆、魃、筑波山の天狗などが、その代表例です。

一方、現代の都市伝説では、妖怪の速さが自転車、バイク、自動車、100メートル走のタイムなどと比較されるようになります。

口裂け女や人面犬の速さは、現代人にとって身近な乗り物や記録を用いることで、その恐ろしさを分かりやすく表したものと考えられます。

伝承ごとに基準が異なるため、「最も足の速い妖怪」を決めることはできません。

しかし、どれほど速く逃げても追いつかれるという状況は、時代を問わず人間の恐怖をかき立てます。

妖怪の俊足は、単なる運動能力ではなく、「逃げることができない」という絶望を表すための能力なのかもしれません。