肉付き面は、嫁を脅そうと鬼の面をかぶった姑が、面を顔から外せなくなる怪異。吉崎に伝わる霊験譚を紹介します。

肉付き面(にくづきめん)
概要
肉付き面は、悪意をもって鬼の面をかぶった者が、面を顔から外せなくなる怪異です。
特定の一体の妖怪ではなく、昔話や寺院縁起に見られる「顔へ食いつく面」の説話類型です。越前の吉崎に伝わる話が特に知られ、浄土真宗の教えや蓮如信仰とも結びついて広まりました。
姿
- 般若や鬼女を思わせる恐ろしい面。
- 角、牙、見開いた目を持つ。
- 顔へ隙間なく張り付き、皮膚と一体化する。
- 無理にはがそうとすると、顔の肉まで面についてくるとされる。
能力・習性
- 悪意をもってかぶった者の顔へ張り付く。
- 手で引っ張っても外れない。
- 着用者を鬼のような姿へ変える。
- 改心や念仏によって外れる場合がある。
面自体が人を襲うのではなく、着用者の悪心を形として表す怪異といえます。
代表的な伝承
- 意地の悪い姑が、夫を亡くした嫁を日頃からいじめていた。
- 嫁が墓参りへ出かけると、姑は鬼の面をかぶって後を追った。
- 姑は道中で嫁を脅かしたが、面が顔から外れなくなった。
- 姑は苦しみながら自分の行いを告白し、嫁へ謝罪した。
- 嫁と姑が念仏を唱えると、面が外れたという。
肉付き面の説話には各地に類話があり、「面をつけて悪事を働くと外れなくなり、念仏などによって救われる」という展開が共通しています。
各地のバリエーション
- 福井県: 吉崎周辺では、嫁をいじめた姑が鬼面を外せなくなった霊験譚として伝えられる。
現代作品での登場
- なし
別名
- 肉付きの面
- 肉付の面
- 肉附き面
関連妖怪
- 般若
嫉妬や怒りで鬼女となった女性を表す存在。肉付き面も般若の面として語られることが多い。
- 鬼女
女性の悪心や怨念が鬼の姿となったもの。面をつけた姑の姿と重なる。
- 生成
人間から鬼へ変わりつつある女性を表す能面。肉付き面による変貌と共通する。
- 面霊気
長い年月を経た仮面が妖怪となったもの。面そのものが怪異を起こす点が近い。
- 付喪神
古い道具に霊が宿った存在。肉付き面も、道具である面が人間へ作用する怪異である。
妖怪検定ポイント
- 読みはにくづきめん。
- 特定の妖怪ではなく、顔から外れなくなる鬼面の説話。
- 姑が嫁を脅かすために面をかぶる。
- 面は悪心に反応するように顔へ張り付く。
- 改心と念仏によって外れる。
- 越前の吉崎に伝わる話が有名。
- 蓮如信仰と結びついて広まった。