機尋は、帰らない夫を待つ女の恨みが織りかけの布に宿り、蛇となって夫を探すとされる妖怪です。鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』由来の布の怪異を解説します。

機尋(はたひろ)
概要
- 機尋は、機で織られた布に人の執念が宿り、蛇の姿へ変じたとされる妖怪です。
- 鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた妖怪で、地方の口承よりも妖怪画の詞書を中心に知られます。石燕の説明では、帰らない夫を恨みながら機を織る女の一念が、布を蛇に変えたとされます。
- 江戸時代の作品に見られる、「強い怨み」と蛇を結び付ける表現の一例として読むのが適切です。
姿
- 長く織られた白い布が、蛇の胴のようにくねる姿。
- 先端には、牙をのぞかせた蛇の頭があります。
- 水木しげるの挿絵では、室内をうねりながら進む白い蛇身として描かれています。
能力・習性
- 人の恨みや執念を宿した布が、蛇の姿へ変化します。
- 夫など、思いを向けた相手の行方を追うとされます。
- 人を襲う、毒を吐くといった直接的な害は、明確ではありません。
代表的な伝承
- ある女が、外出したまま帰らない夫を恨みながら機を織っていた。
- その恨みは織りかけの布へ移り、布は大蛇に変化した。
- 蛇となった機尋は、夫の行方を探してさまよったという。
各地のバリエーション
- なし
現代作品での登場
- なし
別名
- なし
関連妖怪
- 蛇帯(じゃたい)
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた、女の妬みが帯を毒蛇へ変える怪異。女性の情念と蛇、身につけた布を結び付ける点で、機尋と特に近い存在です。
- 小袖の手(こそでのて)
死者の思いが残った小袖から手が現れるとされる怪異。機尋とは異なり蛇にはなりませんが、衣服に残った執着が怪異化する点で共通します。
- 暮露暮露団(ぼろぼろとん)
古びた布団や衣服に念が宿って化けたとされる付喪神。布や寝具が怪異の器となる点で、機尋と近い発想を持ちます。
- 器物の妖怪(付喪神)を集めています
妖怪検定ポイント
- 読みははたひろ。
- 鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた文献妖怪。
- 帰らない夫への恨みが、織りかけの布に宿る。
- 布は蛇となり、夫の行方を探す。
- 蛇帯・小袖の手と同じく、衣服や布に人の思いが残る怪異の系統に近い。