
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』全6期536話から、レギュラーを除いたゲスト妖怪を集計。白山坊、見上げ入道、牛鬼、のっぺらぼうなど17体の元ネタと、各期における描かれ方の変化を紹介します。
- アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』について
- 本記事の集計方法
- 百々爺(ももんじい)
- 見上げ入道(みあげにゅうどう)
- かわうそ
- さざえ鬼(さざえおに)
- 夜叉(やしゃ)
- 姑獲鳥(うぶめ)
- 後神(うしろがみ)
- 枕返し(まくらがえし)
- 水虎(すいこ)
- 泥田坊(どろたぼう)
- 火車(かしゃ)
- 牛鬼(うしおに)
- 陰摩羅鬼(おんもらき)
- 魍魎(もうりょう)
- のっぺらぼう
- まとめ
- Amazon Prime Videoで『ゲゲゲの鬼太郎』を見る
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』には、鬼太郎や目玉おやじ、ねずみ男といったおなじみのキャラクターだけでなく、毎回さまざまな妖怪が登場します。
同じ妖怪を題材にしたエピソードが、時代を変えて何度もアニメ化されることも少なくありません。
元となった伝承や妖怪画は同じでも、ある期では恐ろしい敵、別の期では人間に傷つけられた被害者、さらに新しいシリーズでは現代社会の問題を映す存在として描かれることがあります。
本記事では、アニメ全6期・合計536話を対象に、物語の中心となったゲスト妖怪の登場回数を集計しました。
アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』について
| シリーズ | 放送年 | エピソード数 |
|---|---|---|
| 第1期 | 1968~1969年 | 全65話 |
| 第2期 | 1971~1972年 | 全45話 |
| 第3期 | 1985~1988年 | 全115話 |
| 第4期 | 1996~1998年 | 全114話 |
| 第5期 | 2007~2009年 | 全100話 |
| 第6期 | 2018~2020年 | 全97話 |
| 合計 | - | 536話 |
『ゲゲゲの鬼太郎』は、1968年の第1期から2018年開始の第6期まで、おおむね10~20年おきに新シリーズが制作されてきました。同じ原作エピソードが各時代の社会状況や視聴者層に合わせて再構成されている点も、大きな魅力です。
本記事の集計方法
本記事では、単に画面に映った回数ではなく、次の基準で集計しています。
- その回の敵役・主役・事件の中心となった妖怪を1回と数える
- 前後編は、それぞれ1話として数える
- 複数の妖怪が同格で物語の中心となる場合は、それぞれに1回を加える
- 回想や群衆、短い顔見せだけの登場は数えない
- 鬼太郎ファミリーや継続的な敵役は除外する
除外した主なキャラクターは、鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男、ねこ娘、砂かけばばあ、子泣きじじい、一反もめん、ぬりかべなどです。
また、死神やぬらりひょんのように、複数話にわたって継続的に登場する敵役も、単発のゲスト妖怪とは性質が異なるためランキングから外しました。
集計上は「たんたん坊」が8回、「妖花」が7回、「白山坊主」5回、「皿こぞう」5回で上位となりますが、いずれも水木作品・鬼太郎作品独自の性格が強く、伝承上の元ネタ妖怪と比較しにくいため、本記事では百々爺以下の15体を取り上げます。各話の名称と内容は、東映アニメーションの公式エピソード一覧・あらすじを基礎資料としています。
百々爺(ももんじい)

百々爺は、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に描かれた、杖を持つ老人姿の妖怪です。
石燕の解説でも正体は明確にされておらず、野原に現れて通行人を病気にする老人の怪とされています。
元の妖怪には詳しい物語や能力がほとんどありませんが、『ゲゲゲの鬼太郎』では鬼太郎を罪人に仕立てる悪知恵に長けた策士として、はっきりした個性を与えられました。
登場回数
6回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第2期・第3話「妖怪大裁判」
鬼太郎を妖怪社会の法廷へ引きずり出し、有罪にしようとする黒幕として登場します。 - 第3期・第32話「鬼太郎危うし!妖怪大裁判」
鬼太郎に恨みを持つ妖怪を集め、裁判を利用して追い詰めます。 - 第4期・第46話「妖怪大裁判(前編)」
- 第4期・第47話「妖怪大裁判(後編)」
前後編を通して陰謀を巡らせ、鬼太郎に不利な証言を積み重ねていきます。 - 第5期・第47話「妖怪大裁判」
善人を装いながら、妖怪の魂を呼び出す秘石や偽証を利用して鬼太郎を陥れます。 - 第6期・第42話「百々爺の姦計 妖怪大裁判」
検察側に立ち、人間のまなまで証人として巻き込んで鬼太郎を追い詰めます。
描かれ方の特徴と変遷
百々爺は、ほぼすべての期で「妖怪大裁判」とセットで登場します。
元ネタには「裁判」「偽証」「策略」といった性質はありません。鬼太郎作品によって、正体不明の老人妖怪から、法や世論を悪用する陰謀家へと大幅に再構成された例です。
物理的な強さではなく、証言、証拠、妖怪社会の規則を利用して鬼太郎を追い詰める点は全期共通。第6期では人間社会との関係まで裁判に持ち込み、現代的な正義や偏見を問うエピソードになっています。
見上げ入道(みあげにゅうどう)

見上げ入道は、夜道などに小さな僧の姿で現れ、見上げるほど巨大になっていく妖怪です。見越入道と同系統の妖怪とされます。
見上げ続けると倒されたり命を奪われたりしますが、「見上げ入道、見越した」などと正体を見破る言葉を唱えると消えるとも伝えられています。
登場回数
6回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第9話「見上げ入道」
人間を妖怪に変える妖怪学校の主として登場します。 - 第3期・第30話「妖怪見上げ入道」
人間を新入生として妖怪学校へ連れ込み、鬼太郎まで生徒にしようとします。 - 第4期・第1話「妖怪!見上げ入道」
開発によって封印を解かれ、子どもたちを妖怪学校へ連れ去ります。 - 第5期・第75話「見上げ入道の妖怪学校」
妖怪学校の校長という設定を前面に出し、人間の子どもを妖怪として教育しようとします。 - 第6期・第2話「戦慄!見上げ入道」
アイドルのコンサート会場から大勢の観客を消し、見上げられるほど巨大化します。 - 第6期・第19話「復活妖怪!?おばけの学校」
たんたん坊らとともに妖怪学校を復活させます。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタの「見上げると大きくなる」という性質は、ほぼすべての期で維持されています。
一方、鬼太郎作品独自の大きな追加設定が、人間を妖怪に変える妖怪学校の校長という役割です。
初期は山中や学校に潜む恐ろしい妖怪でしたが、第6期ではアイドルのコンサートという「大勢の視線が集中する場所」に現れました。見られるほど大きくなる能力が、現代の人気・注目・群衆心理と結びつけられています。
かわうそ

日本各地には、かわうそが人間の女性や子どもに化け、夜道や水辺で人をだますという伝承があります。
声をまねたり、人の名前を呼んだり、美女に化けたりするなど、狐や狸に似た変化妖怪として語られました。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第40話「おベベ沼の妖怪」
- 第3期・第31話「オベベ沼の妖怪」
- 第4期・第71話「オベベ沼の妖怪!」
- 第5期・第42話「オベベ沼の妖怪かわうそ!」
人間の少年などに化け、ねずみ男をだます「オベベ沼」の物語が各期で再構成されています。 - 第6期・第18話「かわうそのウソ」
人間に化けて嘘をつく一方、そのいたずらの裏にある寂しさや人恋しさが描かれます。
描かれ方の特徴と変遷
第1期から第5期までは、「オベベ沼で人を化かす妖怪」という同じ原作エピソードが繰り返し使われました。
元ネタのかわうそが持つ、人間に化けて人をだます性質を素直に生かした構成です。
第6期では、嘘をつく迷惑な妖怪というだけでなく、他者と関わりたいが素直になれない存在として描かれました。化かす妖怪から、不器用で孤独な妖怪へと視点が変わっています。
さざえ鬼(さざえおに)

さざえ鬼は、長く生きたサザエが妖怪となったものとされます。
美しい女性に化けて海上の男をだます話でも知られ、海の魔性や変化能力と結びついた妖怪です。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第33話「さざえ鬼」
海辺で人間を化かし、鬼太郎を追い詰める強敵として登場します。 - 第3期・第14話「不老不死!?妖怪さざえ鬼」
不老不死への欲望と結びついた妖怪として描かれます。 - 第4期・第17話「海奇!妖怪さざえ鬼」
海の怪異としての不気味さや、変化能力が強調されています。 - 第5期・第23話「美食家!?さざえ鬼」
金持ちの美食家を装い、鬼太郎たちに近づくコミカルな捕食者として登場します。 - 第6期・第90話「アイドル伝説さざえ鬼」
鬼太郎に似た姿を利用して、芸能界や人気商売に関わる妖怪として描かれます。
描かれ方の特徴と変遷
初期のさざえ鬼は、海で人間をだまして食らおうとする、元ネタに近い恐ろしい変化妖怪です。
第5期になると「美食家」、第6期では「アイドル」と、現代の富・人気・自己演出を題材にしたキャラクターへ変化しました。
美女に化けて男を惑わすという古い伝承の構造が、金持ちへの偽装や人気者へのなりすましへ置き換えられたと見ることもできます。
夜叉(やしゃ)

夜叉は古代インドの鬼神「ヤクシャ」に由来します。
恐ろしい人食いの鬼神としての面を持つ一方、仏教に取り入れられてからは、仏法を守護する八部衆の一員としても扱われました。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第2話「夜叉」
妖しい音楽で人間を惑わせる、異国的で不気味な妖怪として登場します。 - 第3期・第10話「悪魔のメロディー・夜叉」
演奏によって人の心や生命を奪う音楽妖怪として描かれます。 - 第4期・第3話「ギターの戦慄!夜叉」
ギターを用いて若者を魅了し、操る現代的な悪役となります。 - 第5期・第3話「妖しき旋律!夜叉」
人間の嫉妬や憎しみから力を得て、音楽を通じて人々を支配します。 - 第6期・第86話「鮮血のクリスマス」
サンタクロースを装って子どもに近づく、捕食者としての恐ろしさが強調されます。
描かれ方の特徴と変遷
元の夜叉は、悪鬼と守護神の両面を持つ幅広い存在ですが、鬼太郎では主に邪悪な妖怪として描かれます。
第1期から第5期までは、ギターや音楽によって人間を操るという、鬼太郎独自の性質がほぼ固定されました。
第6期では音楽妖怪としての印象が弱まり、子どもを狙う怪物として再構成されています。異国の鬼神という出自よりも、身近な存在に化けて近づく恐怖が前面に出ています。
姑獲鳥(うぶめ)
日本の産女は、難産などで亡くなった女性の霊が、赤子を抱いて現れる怪異です。
道行く人に赤子を抱かせようとする産女と、中国で子どもをさらう怪鳥とされた姑獲鳥が、近世に重ね合わせられたと考えられています。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第46話「うぶめ」
赤子や母親への執着を持つ、悲しい女性妖怪として描かれます。 - 第3期・第24話「子供が消える!?妖怪うぶめ」
子どもを連れ去る妖怪として、母性と恐怖の両面が扱われます。 - 第4期・第81話「子育て妖怪!うぶめ」
子どもを育てたいという思いが強調され、単純な悪役ではない存在となります。 - 第5期・第65話「呪いの鳥!うぶめが舞う」
強大な妖力を持つ怪鳥として復活し、呪いを振りまきます。 - 第6期・第47話「赤子さらいの姑獲鳥」
赤ん坊をさらう妖怪として追われますが、泣いている赤ん坊を世話するという一面も描かれます。
描かれ方の特徴と変遷
鬼太郎の姑獲鳥は、日本の「死んだ母親の霊」と、中国系の「子どもをさらう怪鳥」という二つの性格を併せ持ちます。
初期には悲しい母親の怪異、第5期では凶悪な怪鳥、第6期では「赤子さらい」という評判だけで悪者と決めつけられる存在として描かれました。
第6期ではSNSや動画配信によって情報が広がる構造も加わり、妖怪の実像と、世間が作り上げたイメージの違いがテーマになっています。
後神(うしろがみ)

後神は、鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』に描かれた妖怪です。
人の背後に現れて後ろ髪を引き、前へ進もうとする人をためらわせるとされます。「後ろ髪を引かれる」という言葉を妖怪として表現した存在とも考えられています。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第61話「後神」
人間の背後にまとわりつき、心を惑わせる女性妖怪として登場します。 - 第3期・第59話「宵待ち草の後神」
恋愛や未練と結びつき、人間の情念を利用する存在として描かれます。 - 第4期・第55話「座敷童子と妖怪後神!」
家に住み着く座敷童子と対照的な妖怪として、住居や人間への執着を見せます。 - 第5期・第86話「背後に迫る恐怖!後神」
人間の女性の背後に取りつき、裕福な家へ入り込もうとします。 - 第6期・第59話「女妖怪・後神との約束」
人間を愛した過去を持つ、もとは気性の優しい女性妖怪として描かれます。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタの後神は、ためらいや臆病心を擬人化した抽象的な妖怪です。
鬼太郎ではそこに女性としての情念、恋愛、住居への執着が追加され、具体的な人格を持つようになりました。
初期は背後から人を脅かす怪異でしたが、第6期では過去の約束や人間への愛情を抱える悲劇的な妖怪となっています。
枕返し(まくらがえし)

枕返しは、夜中に眠っている人の枕をひっくり返したり、頭と足の向きを入れ替えたりする妖怪です。
童子や小さな坊主の姿で現れるともいわれますが、明確な姿を持たず、寝室で起きる怪異そのものとして伝えられる例もあります。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第28話「まくら返し」
人間を眠らせ、寝室で怪異を起こす妖怪として登場します。 - 第3期・第19話「ゆめ妖怪まくらがえし」
枕を動かすだけでなく、人間を夢の世界へ引き込む能力を持ちます。 - 第4期・第15話「悪夢!妖怪まくら返し」
悪夢を利用して人間を苦しめる、より攻撃的な妖怪となります。 - 第5期・第24話「夢の中の決闘!枕返し」
夢の世界を支配し、夢の中で高い戦闘力を発揮します。 - 第6期・第14話「まくら返しと幻の夢」
眠り続ける人々を救うため、鬼太郎たちを夢の世界へ送る協力者として登場します。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタの枕返しは、枕や寝ている向きを変える比較的小規模な怪異です。
鬼太郎では、そこから「眠り」「夢」「精神世界」へ能力が大幅に拡張されました。
第3期から第5期までは夢の世界を利用する敵として描かれましたが、第6期では事件の犯人ではなく、夢へ入るために力を貸す妖怪です。怪異の張本人から、夢世界の案内人へと立場が変化しました。
水虎(すいこ)

水虎は、もともと中国の川にいるとされた水棲の怪物です。
幼い子どもほどの大きさで、硬い鱗に覆われ、膝に虎の爪のような突起を持つと記されました。日本では河童と重ねられ、「水虎」が河童の別名のように使われることもあります。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第14話「水虎」
液体のような体を持ち、人間に取りつく強力な水の妖怪として登場します。 - 第3期・第9話「不死身の妖怪水虎」
水へ戻ることで再生し、人間の体を利用する倒しにくい妖怪として描かれます。 - 第4期・第56話「水変化!妖怪水虎」
水へ姿を変える能力と、人への憑依が強調されています。 - 第5期・第1話「妖怪の棲む街」
都市の水辺に出現し、人間を襲う第5期最初の敵妖怪となります。 - 第6期・第64話「水虎が映す心の闇」
人間の憎しみや負の感情に呼応し、水の体から虎の姿へ変化します。
描かれ方の特徴と変遷
元の水虎は、硬い鱗を持つ中国の水棲生物ですが、鬼太郎では「水そのものに近い体」を持つ妖怪として描かれます。
初期は封印を解かれた不死身の怪物、第5期では都市に現れる水害のような敵、第6期では人間の憎悪を映し出す存在となりました。
第6期では、妖怪そのものよりも、人間社会の支配関係やいじめ、蓄積された怒りが事件を生み出しています。
泥田坊(どろたぼう)

泥田坊は、鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』に描かれた、一つ目で三本指の妖怪です。
田を大切に耕していた老人が亡くなった後、息子が田を売ってしまったため、泥の中から「田を返せ」と叫ぶ怪物が現れたと説明されています。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第2期・第1話「妖怪復活」
人間によって荒らされた土地から復活する妖怪の一体として登場します。 - 第3期・第28話「田を返せ!!妖怪泥田坊」
開発によって田を奪われ、「田を返せ」と訴える土地の怨念として描かれます。 - 第4期・第22話「蜂起!妖怪泥田坊」
田や農村を荒らす人間に対し、怒りを爆発させます。 - 第5期・第70話「退治不可能!?泥田坊」
乾いた泥が飛び散り、雨によって多数の泥田坊が復活する、増殖型の怪異となります。 - 第6期・第54話「泥田坊と命と大地」
土地の再開発を進める建設会社と、土地を守ろうとする泥田坊の因縁が描かれます。
描かれ方の特徴と変遷
泥田坊は、今回取り上げる妖怪の中でも、元ネタの性質が一貫して保たれている妖怪です。
どの期でも、土地を粗末にする人間への怒りと「田を返せ」という訴えが物語の中心にあります。
ただし、時代が進むにつれて、単なる放蕩息子への恨みから、鉄道、ニュータウン、再開発など、より大規模な土地問題へと対象が広がりました。
泥田坊は、古い農村の妖怪でありながら、環境破壊や土地開発を描く妖怪として現代化されています。
火車(かしゃ)

火車は、葬式や墓場に現れ、人間の死体を奪っていく妖怪です。
古くは地獄へ死者を運ぶ火の車や獄卒として語られましたが、後世には年老いた猫や猫又が化けた妖怪と考えられるようになりました。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第2期・第23話「逆餅殺し」
餅を好み、死体を奪う妖怪として登場。鬼太郎たちは「逆餅殺し」で対抗します。 - 第3期・第62話「妖怪火車逆モチ殺し!!」
餅と死体をめぐる原作の構造を、戦闘色を強めて再構成しています。 - 第4期・第45話「もち殺し!妖怪火車」
死者を粗末にする人間や家族関係を絡めた物語となっています。 - 第5期・第90話「新年大暴走!鬼太郎火車!!」
妖怪横丁の運送屋で働く餅好きの妖怪として登場し、鬼太郎との体の入れ替わり騒動を起こします。 - 第6期・第38話「新春食人奇譚 火車」
年老いて弱った死体食いの妖怪として現れ、魂と体を入れ替える能力を使います。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタにある「死体を奪う」という性質は全期で維持されています。
一方、餅好きという設定や魂を入れ替える能力は、鬼太郎作品独自の要素です。
第2期から第4期は死体を奪う恐ろしい妖怪、第5期では妖怪横丁で働く住人、第6期では老いによって力を失いかけた妖怪として描かれました。
第6期では、人間だけでなく妖怪も老いるという視点が加わり、怪談と高齢化の問題が重ねられています。
牛鬼(うしおに)

牛鬼は、西日本を中心に伝わる非常に凶暴な妖怪です。
牛の頭を持つ怪物として描かれることが多く、海岸、淵、滝などの水辺に現れて人間を襲うとされます。地域によって姿や性質に大きな違いがあります。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第2期・第15話「牛鬼」
牛鬼岩の封印から復活し、倒した者へその性質を受け継がせます。 - 第3期・第42話「妖怪牛鬼」
牛鬼を倒した鬼太郎自身が、次の牛鬼へ変化してしまいます。 - 第4期・第6話「暴走!鬼太郎牛鬼」
牛鬼となった鬼太郎が仲間を襲う、感染・変身型の恐怖が描かれます。 - 第5期・第14話「鬼太郎死す!?牛鬼復活」
瀬戸内海の島に封印された巨大な牛頭・蜘蛛胴の妖怪として復活します。 - 第6期・第22話「暴走!!最恐妖怪牛鬼」
観光地で封印を解かれ、倒した者が新たな牛鬼となる恐ろしい連鎖を引き起こします。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタの牛鬼は地域によって多様ですが、「倒した者が次の牛鬼になる」という性質は、鬼太郎作品で特に強調された設定です。
各期とも鬼太郎自身が牛鬼に変化する展開が大きな見せ場となり、単なる巨大怪獣ではなく、倒しても終わらない呪いとして描かれます。
第6期でも基本構造は変わりませんが、伝承を軽視した観光開発やテレビ取材が封印を解く原因となり、地域の言い伝えを無視する現代人への警告が強まりました。
陰摩羅鬼(おんもらき)

陰摩羅鬼は、十分な供養を受けていない新しい死体から生じる気が、怪鳥となったものです。
黒い体と炎のように光る目を持つ鳥として描かれ、読経や供養を怠った僧の前に現れるともいわれます。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第64話「陰摩羅鬼」
墓や死体に関わる怪鳥として、元ネタに近い怪物的な姿で登場します。 - 第3期・第49話「妖怪殺人事件おんもらき」
連続する事件の正体を追う、妖怪ミステリーとして描かれます。 - 第4期・第24話「怪談!妖怪陰摩羅鬼」
死者への思いや供養をめぐる、怪談色の強い物語となっています。 - 第5期・第50話「呪いの花嫁!陰摩羅鬼」
花嫁となった女性に取りつき、恋愛や死者の執念と結びつく妖怪として登場します。 - 第6期・第80話「おんもらきの罠」
人間の体や生命力を利用する、寄生的な妖怪として再構成されています。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタの陰摩羅鬼は、供養されない死体から生まれる鳥の妖怪です。
初期には墓場の怪鳥として描かれましたが、次第に人間へ取りつき、恋愛や結婚、若さへの欲望を利用する妖怪へ変化しました。
死体から生まれる外部の怪物から、人間の体や人生の内側へ入り込む存在へと恐怖の方向が変わっています。
魍魎(もうりょう)

魍魎は、中国の古い文献では山川や木石の精など、正体の定まらない怪異の総称として扱われました。
日本では墓を荒らし、死体や死者の肝を食べる小さな妖怪として知られ、死体を奪う火車と混同されることもあります。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第31話「もうりょう」
墓場から死体を奪い、その体を利用する妖怪として登場します。 - 第3期・第53話「皿屋敷の妖怪モウリョウ」
皿屋敷の怪談と組み合わせ、幽霊と死体をめぐる物語に再構成されています。 - 第4期・第86話「死の使い・モウリョウ」
死者を求めて現れる不吉な使者として描かれます。 - 第5期・第64話「もうりょうの夜」
病院に多数の魍魎が押し寄せ、死体に取りついて動かします。 - 第6期・第78話「六黒村の魍魎」
人間の死体に取りついて操る妖怪として登場し、村に隠された過去と人間の罪をめぐるミステリーが展開されます。
描かれ方の特徴と変遷
鬼太郎の魍魎は、元ネタの幅広い意味よりも、「死体に取りつく墓場の妖怪」という一面に絞られています。
第1期では単純な死体食い、第5期では群れで病院を襲うモンスター、第6期では村の秘密を暴く怪異として描かれました。
新しい期ほど、妖怪そのものよりも、死体を隠そうとする人間や共同体の罪が物語の中心となっています。
のっぺらぼう

のっぺらぼうは、人間と同じ姿をしながら、顔に目・鼻・口がない妖怪です。
普通の人間を装って近づき、突然顔を消して相手を驚かせます。狐、狸、狢などが化けたものとされる場合もあります。
登場回数
5回・5シリーズ
登場期とエピソード名、描かれ方
- 第1期・第45話「のっぺらぼう」
人間の顔を奪い、自分の顔として利用する恐ろしい妖怪として登場します。 - 第3期・第16話「妖怪のっぺらぼう」
顔を奪われる怪事件を起こし、鬼太郎と対決します。 - 第4期・第7話「妖怪のっぺらぼう!」
顔や外見を奪う能力を持つ敵妖怪として描かれます。 - 第4期・第21話「白粉婆とのっぺらぼう」
白粉婆とともに登場し、外見だけで妖怪を疑うことの危うさが扱われます。 - 第6期・第44話「なりすましのっぺらぼう」
SNSで人間のアイドルと交流する心優しい妖怪として登場。顔がないことを恥じ、鬼太郎に自分の代役を頼みます。
描かれ方の特徴と変遷
元ネタののっぺらぼうは、顔がない姿を見せて人を驚かす妖怪です。
初期の鬼太郎では、他人の顔を奪う能力が加えられ、明確な敵役となりました。
しかし、第4期の一部では誤解される妖怪、第6期では自分の外見に悩む善良な妖怪として描かれています。
第6期では「顔がない」という特徴が、単なる怪談ではなく、SNS上の匿名性、演じさせられる人格、外見への劣等感と結びつけられました。人の顔を奪う妖怪から、自分の顔を持てないことに苦しむ妖怪へと、立場が反転しています。
まとめ
全6期を通して繰り返し登場する妖怪には、いくつかの共通点があります。
見上げ入道、牛鬼、泥田坊などは、元ネタ妖怪の特徴を保ちながら、時代ごとの社会問題が加えられてきました。
一方、百々爺、枕返し、水虎などは、元の伝承では詳しく語られていない能力や人格が、鬼太郎作品の中で大きく膨らんでいます。
特に第5期・第6期では、妖怪が単純な悪役ではなく、
- 孤独や劣等感を抱えている
- 人間に住処や土地を奪われている
- 誤解や偏見によって悪者にされている
- SNSや芸能界、都市開発に巻き込まれている
といった描かれ方が増えました。
同じ妖怪の登場回を各期で見比べると、妖怪そのものの違いだけでなく、作品が制作された時代の価値観も見えてきます。
Amazon Prime Videoで『ゲゲゲの鬼太郎』を見る
Prime Videoでは、『ゲゲゲの鬼太郎』をシリーズごとのページから探すことができます。
個別エピソードへ直接移動できない場合は、本記事に記載した第○期・第○話・エピソード名を参考に、シリーズページ内から該当話を選んでください。
特に第5期と第6期は、古典的な妖怪の特徴を残しながら、現代社会に合わせて再解釈されたエピソードが多く、比較して見るのにおすすめです。
※配信・レンタルの有無や価格は変更される場合があります。
