衾は、新潟県佐渡地方に伝わる夜具の妖怪。夜道を歩く人を突然襲い、顔を覆って目や鼻を塞ぐとされます。布団かぶせや一反木綿との関係も解説します。

衾(ふすま)
概要
- 衾は、夜道を歩く人に覆いかぶさる妖怪。
- 読みは「ふすま」。
- ここでいう衾は、建具の襖ではなく、昔の夜具のこと。
- 現在の布団が普及する以前に使われた寝具が、妖怪化したものと考えられる。
- 新潟県佐渡地方に伝わる妖怪で、夜道を行く者を突然襲う。
- 風呂敷のようなものが人の顔を覆い、目や鼻を塞いで五感の働きを妨げるとされる。
- 愛知県西尾市・佐久島の「布団かぶせ」と非常によく似た、覆いかぶさり系の妖怪である。
姿
- 衾は、風呂敷や夜具のような布状の姿で現れる。
- 人型や獣型ではなく、大きな布のようなものとして語られる。
- 夜道で突然、ふわっと現れて人の顔面を覆う。
- 顔を包まれると、目も鼻も塞がれてしまう。
- その姿は一反木綿のような布の妖怪にも近い。
- ただし一反木綿が空を飛ぶ布のように語られるのに対し、衾は人の顔や感覚を覆い隠す夜具の怪異という印象が強い。
能力・習性
- 夜道に現れる。
- 歩いている人を突然襲う。
- 風呂敷のように顔を包み込む。
- 目や鼻を塞ぎ、五感の働きを妨げる。
- 顔面をくるまれると、名刀で切ろうとしても切れないとされる。
- 弱点はお歯黒で染めた歯である。
- お歯黒の歯で噛み切ると、すっと切り裂くことができるという。
代表的な伝承
新潟県佐渡地方には、衾という妖怪が伝わっている。
衾とは、現在の布団が広まる以前に使われていた夜具のことである。
その夜具のようなものが、夜道を歩く人を突然襲う。
歩いていると、どこからともなく風呂敷のようなものが現れる。
それは人の顔に覆いかぶさり、目や鼻を塞いでしまう。
顔をくるまれた者は、前も見えず、息も苦しくなる。
しかも、たとえ名刀で切ろうとしても、その衾を切ることはできないという。
しかし、衾にも弱点がある。
お歯黒で染めた歯で噛み切ると、すっと切り裂くことができるとされた。
そのため佐渡地方では、昔は男でもお歯黒をしたのだという。
各地のバリエーション
- 新潟県佐渡地方の衾
夜道を歩く者を突然襲い、風呂敷のように顔を覆って目や鼻を塞ぐ。お歯黒で染めた歯で噛み切ると退けられるとされる。 - 愛知県西尾市・佐久島の布団かぶせ
夜道で布団のようなものを頭にかぶせ、窒息させる妖怪。衾と非常によく似た覆いかぶさり系の妖怪である。詳しくは、個別記事「布団かぶせとは?夜道で布団をかぶせ窒息させる佐久島の妖怪を解説」で扱っている。 - 広島県比婆郡周辺のおいがかり
後ろから何かが覆いかぶさってくる正体不明の怪異。布や夜具そのものではないが、「何かに覆われる恐怖」を妖怪化した存在として衾と近い。
現代作品での登場
- なし
別名
- なし
関連妖怪
- 布団かぶせ
愛知県西尾市・佐久島に伝わる妖怪。夜道で布団のようなものをかぶせて窒息させる点で、衾と最も近い。
- おいがかり
後ろから覆いかぶさってくる正体不明の妖怪。衾と同じく、姿よりも圧迫感や覆われる恐怖が中心となる。
- 一反木綿
布状の妖怪。衾が顔を覆う夜具の怪異であるのに対し、一反木綿は空を飛び、人に巻きつく布の妖怪として比較しやすい。
- 枕返し
寝具や眠りに関わる妖怪。衾とは襲い方が異なるが、就寝や夜具への不安と結びつく点で関連する。
- べとべとさん
夜道で人の後をつける妖怪。直接覆いかぶさるわけではないが、夜道の不安が妖怪化した存在として近い。
- 塵塚怪王
古い道具や不要になったものに関わる付喪神系の妖怪。衾も古い夜具が怪異化したものとして、付喪神的に見ることができる。
妖怪検定ポイント
- 読みは「ふすま」。
- 建具の襖ではなく、昔の夜具を指す。
- 新潟県佐渡地方に伝わる妖怪。
- 夜道を歩く人を突然襲う。
- 風呂敷のように顔を覆い、目や鼻を塞ぐ。
- 名刀でも切れないとされる。
- お歯黒で染めた歯で噛み切ると退けられる。
- 愛知県西尾市・佐久島の布団かぶせと非常によく似ている。