懸衣翁は、三途の川で奪衣婆から亡者の衣を受け取り、衣領樹の枝に掛けて生前の罪を量る老人姿の鬼です。

懸衣翁(けんえおう)
概要
懸衣翁は、三途の川のほとりにいるとされる老人姿の鬼です。
奪衣婆が亡者からはぎ取った衣服を受け取り、「衣領樹」と呼ばれる大樹の枝へ掛けます。衣服を掛けた枝のしなり方によって、亡者が生前に犯した罪の重さを量る役目を担います。
奪衣婆ほど単独で語られる機会は多くありませんが、両者で一組となって死者を調べる存在です。なお、三途の川や懸衣翁の説話は仏教経典そのものの教えというより、日本で広まった十王信仰や冥界の俗説に属します。
姿
- 痩せた老人の姿をした鬼。
- 長い髪や髭を持つ姿で描かれる。
- 衣領樹の上や、その枝の近くに座っている。
- 奪衣婆から受け取った衣服を木へ掛ける姿で表される。
- 図像によっては角や険しい顔を持つ鬼として描かれる。
能力・習性
- 奪衣婆から亡者の衣服を受け取る。
- 衣服を衣領樹の枝へ掛ける。
- 枝の垂れ方から亡者の罪の軽重を判断する。
- 亡者が衣服を持っていない場合には、皮をはぐとも伝えられる。
- 測定した罪を、冥界で行われる裁きへつなげる。
代表的な伝承
- 死者が三途の川へたどり着くと、奪衣婆が衣服をはぎ取る。
- 奪衣婆は、奪った衣服を衣領樹の上にいる懸衣翁へ渡す。
- 懸衣翁は衣服を木の枝へ掛ける。
- 生前の罪が重い亡者ほど、衣服を掛けた枝が大きく垂れ下がる。
- その結果をもとに、亡者が冥界で受ける裁きが決められるとされた。
奪衣婆が衣服を奪う役、懸衣翁が罪を量る役という分担になっています。
各地のバリエーション
- なし
現代作品での登場
- なし
別名
- なし
関連妖怪
- 奪衣婆(だつえば)
三途の川で亡者の衣服をはぎ取り、懸衣翁へ渡す鬼婆。懸衣翁と対になって働く存在である。
- 閻魔大王(えんまだいおう)
亡者の生前の行いを裁く冥界の王。懸衣翁が量る罪は、死後の裁判へつながると考えられた。
- 十王(じゅうおう)
死者を順番に裁く十人の冥界の王。懸衣翁や奪衣婆の伝承は、日本における十王信仰の広まりと深く関係している。
- 牛頭馬頭(ごずめず)
牛や馬の頭を持つ地獄の鬼。亡者を捕らえ、刑罰を執行する冥界の役人として懸衣翁と同じ世界に属する。
- 倶生神(くしょうじん)
人が生まれたときから付き添い、善行と悪行を記録するとされる二柱の神。死後の裁きに情報を伝える点で、罪を量る懸衣翁と役割が近い。
妖怪検定ポイント
- 読みはけんえおう。
- 三途の川にいる老人姿の鬼。
- 奪衣婆と一組で働く。
- 奪衣婆が亡者の衣服をはぎ取る。
- 懸衣翁は衣服を衣領樹へ掛ける。
- 枝の垂れ方で罪の重さを量る。
- 仏教そのものの教義というより、十王信仰や冥界の俗説に属する。
- 妖怪というより、冥界の役人・鬼神に近い存在。