病田は、東日本各地に伝わる祟りの田。耕すと病気・死・凶事が起こると恐れられ、人骨や供養されない死者の怨霊との関係も語られます。

病田(やみだ/やまいだ/やまえーだ)
概要
病田は、耕作すると病気や死、災害などの凶事を招くとされた土地の怪異です。
普通の妖怪のように姿を現すわけではありません。
田そのものが忌まれ、その土地を耕した人や所有者、その家族にまで災いが及ぶと信じられていました。
姿
- 特定の姿はない。
- 一見すると普通の田畑と変わらない。
- 荒れた土地として残される場合がある。
- 静岡県の富士山麓では、小さな石の祠が祀られ、病田だと見分けられたという。
病田は人型・動物型の妖怪ではなく、場所そのものに怪異が宿った「祟る土地」です。
能力・習性
- 田を耕した人を病気にする。
- 土地の所有者に凶事をもたらす。
- 災害を続けて起こすとされる。
- 所有者を死なせるとされる地域もある。
- 本人だけでなく一家全体を病気にすることがある。
- 地域によっては、耕作すると約束しただけでも祟る。
- 取り憑いた霊を祀ることで祟りが収まることもある。
特に恐ろしいのが、静岡県富士山麓の伝承です。
そこでは実際に田を作らなくても、「この土地を田にする」と口にして約束しただけで、持ち主が死んだり、一家が重病に苦しんだりするとされました。
代表的な伝承
水木しげる『決定版 日本妖怪大全』では、東日本各地の病田が紹介されています。
- 栃木県: 足利市では、病田を耕すと田の持ち主が病気になるとされた。
- 宮城県: 伊具郡丸森町では、病田に関わると凶事が起こるとされた。
- 新潟県: 旧北魚沼郡では、病田を耕すと災害が続くといわれた。
なかでも詳しく紹介されているのが、静岡県富士山麓の病田です。
富士山麓の病田
昔の富士山麓では、集落ごとに一つか二つほど病田があり、そこには石で作られた小さな祠が祀られていたといいます。
そのため、村人はどの土地が病田なのかをすぐに見分けることができました。
病田を耕すと祟りがあり、
- 土地の持ち主が死ぬ
- 一家が重病に苦しむ
- 田を作ると約束しただけでも災いが起こる
と恐れられていました。
地中から現れた死者
では、なぜ田が祟るのでしょうか。
静岡県駿東郡清水村、現在の清水町では、病田のそばにある堀へ人間の首が流れ着いたという話が伝えられていました。
その首を十分に供養せず、そのまま埋めてしまったことが病田の原因だとされたのです。
ほかの地域でも、病田とされる土地を掘り起こしたところ、大量の人骨が出てきたという話がありました。
こうした伝承から、病田とは田に取り憑いた怨霊が祟る怪異なのだといわれます
逆に、その霊をきちんと祀ったことで、以後は祟りがなくなったという話もあります。
各地のバリエーション
- 栃木県: 足利市では、病田を耕すと田の持ち主が病気になるとされた。
- 宮城県: 丸森町では、病田に関わると凶事が起こるとされた。また岩沼市には「ヤマエーダ」と呼ばれる約60坪の田畑があり、耕す者には必ず不幸や不思議な出来事が起こるとして、耕作されなかったという記録がある。
- 新潟県: 旧北魚沼郡では、病田を耕すと災害が続くといわれた。
- 静岡県: 富士山麓では集落に一つか二つ病田があり、小さな石祠が目印になっていた。耕作だけでなく、田にすると約束するだけでも死や重病を招くとされた。別資料では「ヤミダ」「ヤメエダ」といった呼称も確認される。
現代作品での登場
- なし
別名
- ヤミダ
- ヤマイダ
- ヤマエーダ
- ヤメエダ
「ヤマエーダ」は宮城県、「ヤメエダ」は静岡県の民俗資料で確認される地域的な呼称です。
関連妖怪
- 怨霊(おんりょう)
病田の祟りの原因とされる存在。田に取り憑いた一種の怨霊によって災いが起こるとも説明される。
- 祟り田(たたりだ)
耕作すると病気・死・不幸などが起こるとされる田の総称。病田と非常に近い土地の禁忌・怪異。
- 病人田(びょうにんだ)
茨城県などに残る、耕すと病人が出るとされた田の伝承。病田と同じく「耕作すると災いを招く土地」という性質を持つ。
- 東北地方の妖怪達を集めました
妖怪検定ポイント
- 表記は病田。
- 宮城県ではヤマエーダという呼称も記録される。
- 東日本各地に伝わる。
- 妖怪そのものではなく、祟りを起こす土地の怪異。
- 耕作すると病気・凶事・災害などが起こる。
- 栃木県足利市では持ち主が病気になるとされた。
- 宮城県丸森町では凶事が起こるとされた。
- 新潟県旧北魚沼郡では災害が続くとされた。
- 静岡県富士山麓では集落ごとに病田があったという。
- 富士山麓では小さな石祠が病田の目印だった。
- 田にすると約束しただけで祟るという伝承もある。
- 地中から人骨が出たという話がある。
- 供養されなかった死者が原因とされる例がある。
- 霊を祀ることで祟りが収まったという話もある。