寝肥りは、眠ると体が部屋いっぱいに膨れ、大いびきをかくという妖怪病。『桃山人夜話』に記された美女や奥州の伝承を紹介します。

寝肥り(ねぶとり)
概要
- 寝肥りは、眠ると体が異様に大きくなり、大いびきをかく女性を表した怪異です。
- 普段は美しい女性であっても、眠りにつくと体が部屋いっぱいに広がったようになり、車が轟くほどの大いびきをかく――という、かなりインパクトの強い怪異です。
- 妖怪が外から襲ってくるのではなく、眠っている本人の身体そのものに異変が現れる点が特徴です。
姿
- 普段は普通の女性の姿をしている。
- 美女として描かれる例もある。
- 眠ると体が異様に大きくなる。
- 部屋いっぱいに広がるほど巨大化したように見える。
- 奥州の話では、非常に太った女性として語られる。
決まった怪物の姿を持つというより、眠った女性が巨大化・肥大化したような姿になる怪異です。
能力・習性
- 眠ると体が非常に大きくなる。
- 大きないびきをかく。
- いびきは車が轟くような音とされる。
- 寝相が非常に悪い。
- 本人が積極的に人へ危害を加えるわけではない。
代表的な伝承
江戸時代の『桃山人夜話』には、寝肥りとされる女性の話が記されています。
昔、非常に美しい女性がいました。
- 普段は特に変わったところのない美女だった。
- しかし眠ると、体が部屋いっぱいに広がったようになった。
- 車が轟くような大いびきをかいた。
- あまりにもすさまじい寝姿に、夫は耐えられなくなった。
- 最後には夫が逃げ出してしまった。
- 夫は友人に、この女こそ世にいう「寝肥り」なのだろうと語った。
恐ろしい怪物に襲われる話ではありませんが、日常の寝室が突然異様な空間へ変わるという意味では、独特の不気味さがあります。
各地のバリエーション
- 東北地方: 『桃山人夜話』には、奥州に非常に太った女性がいたという話が記されている。菅で作った筵が十枚あるうち、自分だけで七枚を使い、相方の男性には三枚しか残らなかったという。一度眠れば大いびきをかき、ひどく寝相の悪い女性を奥州では「寝肥り」と呼んだとされる。
現代作品での登場
- なし
別名
- 寝惚堕
水木しげる『決定版 日本妖怪大全』では、寝肥りは「寝惚堕」ともいうとされています。
関連妖怪
- なし
妖怪検定ポイント
- 読みはねぶとり。
- 別名は寝惚堕。
- 一種の「妖怪病」とされる。
- 女性がやたらと寝ることを戒めたものとも考えられている。
- 普段は普通の女性、あるいは美女として語られる。
- 眠ると体が部屋いっぱいに広がったようになる。
- 車が轟くような大いびきをかく。
- 『桃山人夜話』に記録されている。
- 奥州では、非常に太く寝相の悪い女性を寝肥りと呼んだという。
- 外から現れる妖怪ではなく、人間の身体に異常が現れるタイプの怪異。