多爾具久は『古事記』に登場するヒキガエルの神。少彦名命の正体を知る久延毘古を大国主命に教えた役割や、ヒキガエルの怪異伝承を紹介します。

多爾具久(たにぐく)
概要
多爾具久は、『古事記』の国づくり神話に登場するヒキガエルの神です。
大国主命の前に、海から小さな神が小舟に乗って現れた際、周囲の誰もその正体を知りませんでした。そこで多爾具久が進み出て、「久延毘古なら知っているだろう」と助言します。
呼び出された久延毘古によって、小さな神が少名毘古那神であることが判明し、その後、大国主命と少名毘古那神は協力して国づくりを進めました。
水木しげる『決定版 日本妖怪大全』 では、多爾具久について「蟾蜍のことである」と明記しています。つまり、人間の姿をした神ではなく、ヒキガエルと結びついた存在として扱われています。
姿
- 蟾蜍、すなわちヒキガエルの姿とされる。
- 地面を這う小さな生き物としてイメージされる。
- 『古事記』では細かな外見描写はない。
- 水木しげる『決定版 日本妖怪大全』の挿絵では、巨大なカエルの頭を持つ人型の姿で表現されている。
能力・習性
- 少名毘古那神の正体を知る人物を見抜く。
- 久延毘古が詳しいことを大国主命へ教える。
- 国づくり神話の重要な場面をつなぐ役割を果たす。
- ヒキガエルには神通力があるとする俗信がある。
- ヒキガエルを殺すと、祟ったり人に憑いたりすると恐れられた。
代表的な伝承
『古事記』では、大国主命が出雲の美保岬にいたとき、不思議な出来事が起こります。
- 海から非常に小さな神が小さな舟に乗って現れた。
- 大国主命が供の者たちに正体を尋ねた。
- しかし、誰も小さな神の名前を知らなかった。
- そこへ多爾具久が現れた。
- 多爾具久は「久延毘古なら知っているだろう」と告げた。
- 久延毘古を呼んで尋ねると、小さな神の正体が少名毘古那神だと判明した。
- その後、大国主命と少名毘古那神は力を合わせて国づくりを行った。
多爾具久の登場は短いものの、少名毘古那神を大国主命へ結びつける重要な案内役となっています。
各地のバリエーション
- 福岡県: 久留米地方には、ヒキガエルに憑かれると目や耳を悪くされたり、髪の毛をむしられたりするという伝承が残る。
多爾具久そのものの地域差ではなく、多爾具久と同じヒキガエルにまつわる俗信として水木しげる『決定版 日本妖怪大全』に紹介されているものです。
現代作品での登場
- なし
別名
- 多邇具久
※『古事記』の表記では「多邇具久」とされることがあります。
関連妖怪
- 少名毘古那神(すくなびこなのかみ)
海から小舟に乗って現れた小さな神。多爾具久の助言によって、その正体が明らかになった。
- 久延毘古(くえびこ)
天下のことを知る神。多爾具久が「この神なら正体を知っている」と大国主命へ教えた。
- 大国主命(おおくにぬしのみこと)
出雲で少名毘古那神と出会い、ともに国づくりを行った神。
- 蟾蜍(ひきがえる)
多爾具久の正体とされる動物。神通力を持ち、殺すと祟るという俗信も伝えられている。
妖怪検定ポイント
- 読みはたにぐく。
- 『古事記』に登場する神。
- 正体は蟾蜍(ヒキガエル)とされる。
- 大国主命が美保岬にいた場面で登場する。
- 海から現れた小さな神の正体を、誰も知らなかった。
- 多爾具久は「久延毘古なら知っている」と助言した。
- 久延毘古によって、小さな神が少名毘古那神だと判明した。
- 大国主命と少名毘古那神は、その後ともに国づくりを行った。
- ヒキガエルには神通力があり、殺すと祟るという俗信もある。
- 福岡県久留米地方には、ヒキガエルに憑かれるという伝承がある。
- 妖怪というより、日本神話に登場する神・神聖なヒキガエルとして扱うのが適切。