
古い屋敷の床下にひっそりと暮らし、人間の生活用品を少しずつ「借り」ながら生きる小人たちを描いた『借りぐらしのアリエッティ』。
アリエッティたちを見ていると、
「日本にも、家の中や森にひっそり住む小人の伝承はあるのだろうか?」
と気になる人も多いのではないでしょうか。
『借りぐらしのアリエッティ』は、イギリスの児童文学『床下の小人たち』を原作とする作品です。
そのため、日本のコロポックルや座敷童子が直接の元ネタというわけではありません。
しかし日本にも、蕗の葉の下に住む小人、人間の家にひそむ子どもの妖怪、手のひらほどの小さなおじさん、小さな体で国づくりを助けた神など、多くの小人伝承が残されています。
この記事では、アリエッティと比較して楽しみたい、日本の小さな妖怪・精霊・神さまを紹介します。
- アリエッティのような小人は日本にもいる?
- 1. コロポックル
- 2. 小さいおじさん
- 3. 座敷童子
- 4. 倉ぼっこ
- 5. ブナガヤー
- 6. キジムナー
- 7. 福の神
- 8. 少彦名命(すくなびこなのみこと)
- 9. 一寸法師(いっすんぼうし)
- アリエッティに最も近い日本の小人は誰?
- まとめ
アリエッティのような小人は日本にもいる?
アリエッティたちは、人間とよく似た姿を持ちながら、体は非常に小さく、人間に見つからないよう家の床下で暮らしています。
日本の伝承にも「小さな人」は登場しますが、アリエッティとすべての特徴が一致する存在は見当たりません。
小人族という点では、北海道に伝わるコロポックルが最も近いでしょう。
人間の家にひっそり住む点では、座敷童子や倉ぼっこが似ています。
ただし、座敷童子たちは普通の子ども程度の大きさで、手のひらに乗るような小人ではありません。
一方、現代都市伝説の小さいおじさんは、人間の中年男性をそのまま小さくしたような存在です。
1. コロポックル
コロポックルは、北海道のアイヌ伝承に登場する小人の民です。
一般には「蕗の葉の下に住む人」と説明され、北海道に生える大きな蕗の葉の下や、地面に近い場所で暮らしていたと語られます。
伝承では、アイヌが北海道へ来る以前から暮らしていた人々とされることもあります。
ただし、これは伝承上の語りであり、実在した民族として確定しているわけではありません。
アリエッティとの共通点
コロポックルは、人間の近くで暮らしながら、自分たちの姿を見られることを嫌う存在です。
夜になると、魚や獲物を人間の家へそっと届けることもあったとされます。
しかし、人間が無理に姿を見ようとしたため、怒って北の海のかなたへ去ってしまったという話が残されています。
- 人間より小さな民
- 独自の集落や生活を持つ
- 人間の近くでひっそり暮らす
- 姿を見られることを嫌う
- 人間との接触によって住処を去る
こうした点は、アリエッティたちと非常によく似ています。
ただし、コロポックルは必ずしも手のひらほどの大きさとは限りません。
現代作品では極端に小さく描かれることが多いものの、伝承では単に人間より小柄な人々として語られる場合もあります。
2. 小さいおじさん
小さいおじさんは、人間の中年男性をそのまま縮めたような姿で現れる現代都市伝説です。
身長は数センチから十数センチほどとされ、スーツ、作業服、ジャージなどを着ているという目撃談があります。
家の中、風呂場、台所、公園、神社など、身近な場所に突然現れるといわれています。
アリエッティとの共通点
人間と同じ姿をした手のひらサイズの存在という点では、小さいおじさんはアリエッティにかなり近い存在です。
目撃談では、台所の隅を歩いていた、家電のそばに立っていた、家具の陰へ逃げ込んだなど、アリエッティのような日常空間での出現が語られます。
ただし、小さいおじさんが集団で独自の生活を営んでいるという伝承はありません。
古くから語り継がれた妖怪でもなく、主に2000年代以降に広まった現代都市伝説です。
見た人に幸運が訪れるという噂もあり、恐ろしい怪異というより、不思議で少しユーモラスな存在として知られています。
3. 座敷童子
座敷童子は、岩手県を中心とする東北地方に伝わる、子どもの姿をした家の妖怪です。
古い屋敷や座敷に住み、夜中に足音を立てたり、子どもと一緒に遊んだりすると語られます。
座敷童子の住む家は栄えますが、座敷童子が去ると家運が傾くとされています。
アリエッティとの共通点
座敷童子は、人間の家にひっそりと住み、大人には姿を見せないことが多い存在です。
- 古い家に住む
- 家族と同じ空間で生活する
- 姿を見られることが少ない
- 子どもには見えることがある
- 家の運命と深く関わる
こうした点は、床下で人間と隣り合って暮らすアリエッティたちを思わせます。
ただし、座敷童子は普通の子どもの姿で現れることが多く、体が極端に小さいわけではありません。
アリエッティのような「小人」というより、人間には見えにくい家の子ども・守護霊に近い存在です。
4. 倉ぼっこ
倉ぼっこは、東北地方や岩手県遠野に伝わる、倉に住む子どもの姿の妖怪です。
「倉わらし」とも呼ばれ、倉の中で足音を立てたり、物を動かしたりして、自分の存在を知らせます。
座敷童子と同じく、倉ぼっこがいる家は栄え、いなくなると家運が傾くとされます。
アリエッティとの共通点
倉ぼっこは、人間が保管している食料や道具に囲まれた倉で、ひっそり暮らしています。
家の床下に住み、人間が使う物を借りて生活するアリエッティとは、住む場所の雰囲気がよく似ています。
ただし、倉ぼっこも手のひらサイズの小人ではありません。
座敷童子の一種に近く、子どもの姿をした家の怪異です。
5. ブナガヤー
ブナガヤーは、沖縄本島北部のやんばる、特に大宜味村周辺に伝わる小さな精霊です。
赤い髪や赤い体を持ち、50~60センチほどの小柄な子どものような姿で語られます。
森、川、ガジュマルなどの古木の周辺に住み、魚を捕ったり、人間の仕事を手伝ったりすることもあります。
アリエッティとの共通点
ブナガヤーは、自然の中に独自の生活圏を持つ、小さな人型の精霊です。
人間と友達になることもありますが、住処を荒らされたり、失礼なことをされたりすると怒って仕返しをします。
人間より小さい体を持ち、人のすぐ近くにいながら、自然の中でひっそり暮らす点はアリエッティに近いでしょう。
ただし、アリエッティが人間の家から物を借りて暮らすのに対し、ブナガヤーは森や川の自然と結びついた存在です。
6. キジムナー
キジムナーは、沖縄のガジュマルなどの古木に住む精霊です。
赤い髪や赤い顔をした、小さな子どものような姿で語られます。
漁が得意で、人間と仲良くなると大漁をもたらす一方、住処の木を傷つけたり約束を破ったりすると、恐ろしい仕返しをするとされます。
アリエッティとの共通点
キジムナーも、人間の生活圏のすぐ近くに存在しながら、普段は姿を隠して暮らす小さな人型の精霊です。
人間と交流し、手助けをすることがある一方、人間の身勝手な行動によって関係が壊れることもあります。
人間と異なる小さな民が、独自のルールを守りながら暮らしているという点では、アリエッティたちと共通しています。
なお、ブナガヤーとキジムナーは近い存在として扱われることがありますが、地域ごとに名称や伝承が異なります。
7. 福の神
福の神は、人間の家に富や繁栄、幸運をもたらす神です。
姿や名称は伝承によって異なりますが、岩手県の一部では、蔵の屋根などに現れる小さな老翁として語られます。
その小さな老人が家にいる間は家が栄えますが、去ってしまうと衰えるとされます。
アリエッティとの共通点
小さな老人が人間の家や蔵の近くにひっそり現れる姿は、現代都市伝説の小さいおじさんにも通じます。
人間の目が届きにくい場所に住み、家の運命に影響を与える点では、座敷童子や倉ぼっことも近い存在です。
ただし、福の神はすべての伝承で小さな姿をしているわけではありません。
8. 少彦名命(すくなびこなのみこと)
少彦名命は、日本神話に登場する非常に小さな神です。
ガガイモの実のさやで作った小さな船に乗り、蛾の皮を衣服として海のかなたから現れたとされます。
大国主神と協力して国づくりを行い、医薬、温泉、酒造りなどを人間に伝えた神として信仰されています。
アリエッティとの共通点
小さな船や、身近な自然物を道具として利用する姿は、待ち針を剣にしたり、角砂糖を運んだりするアリエッティの生活を連想させます。
少彦名命は、体は小さいものの、大国主神とともに国をつくるほどの知恵と力を持っています。
「体の小ささは弱さではない」という点も、勇敢に家族を守ろうとするアリエッティと共通しています。
ただし、少彦名命は妖怪ではなく、日本神話の神です。
9. 一寸法師(いっすんぼうし)
概要
一寸法師は、日本の御伽草子や昔話に登場する小さな主人公です。
名前の通り、身長は一寸、現在の長さで約3センチほどしかありません。
お椀を船にし、箸を櫂にして都へ向かい、針を刀として鬼と戦います。
アリエッティとの共通点
一寸法師は、人間が使う日用品を、自分の体に合った道具として利用します。
- お椀を船にする
- 箸を櫂にする
- 針を刀にする
この発想は、ティーポットを住居の一部として使い、待ち針を剣にするアリエッティたちの暮らしと非常によく似ています。
ただし、一寸法師は小人族の一員ではなく、人間の夫婦から生まれた特別に小さな子どもです。
妖怪ではありませんが、日本の小人伝承を語るうえで外せない存在です。
アリエッティに最も近い日本の小人は誰?
アリエッティと最も共通点が多いのは、コロポックルです。
どちらも、人間より小さな民として独自の生活を営み、人間の近くに暮らしながら、姿を見られることを避けています。
一方、暮らす場所だけを見ると、座敷童子や倉ぼっこの方がアリエッティに近いでしょう。
人間をそのまま小さくした外見では、小さいおじさん。
日用品を自分の道具に変える点では、一寸法師。
小さな体で大きな役割を果たす点では、少彦名命が似ています。
まとめ
『借りぐらしのアリエッティ』は、イギリスの児童文学を原作とする作品であり、日本の妖怪伝承を直接モデルにしたものではありません。
しかし、日本にもアリエッティを思わせる小さな存在は数多く伝わっています。
日本の小人伝承には、ただ体が小さいだけでなく、
「人間のすぐ近くに、別の世界が存在している」
という共通した想像力があります。
床下、古い座敷、蔵、森、ガジュマルの木、蕗の葉の下。
普段は何もいないように見える場所にも、私たちが気づいていない小さな住人が暮らしているのかもしれません。
ジブリ作品に登場する妖怪達をまとめています