袖もぎ様は、道端に祀られる路傍の神。前で転ぶと災いを避けるため片袖を供えるとされ、中国・四国地方などに伝承が残ります。

袖もぎ様(そでもぎさま)
概要
- 袖もぎ様(そでもぎさま) は、道端にまつられる路傍の神。
- この神の前をうっかり通ると、袖をもぎ取られるとされた。
- また、前で転んだ場合には、災いを避けるために片袖をちぎって供えなければならないとされた。
- 道中の安全、災厄除け、土地の境界信仰と結びつく存在と考えられる。
姿
- はっきりした人型の姿は伝わっていない。
- 路傍の祠、坂、橋、木など、特定の場所に宿る神として語られる。
- 『決定版 日本妖怪大全』の挿絵では、道ばたの祠や木のそばで、人々が何かを供えるような場面として描かれている。
- 「姿のある妖怪」というより、場所に宿る見えない神に近い。
能力・習性
- 神の前を通る人の袖をもぎ取る。
- 神の前で転んだ人に、片袖を供えさせる。
- 供え物をしないと、後に災いがあるとされた。
- 一方で、袖や枝を手向けることで、道中の安全を祈る対象にもなる。
代表的な伝承
- 袖もぎ様のいる場所で人が転ぶと、それは災いの前触れと考えられた。
- その災いを避けるには、着物の片袖をちぎり、袖もぎ様へ供えなければならない。
- 袖を惜しんでそのまま通り過ぎると、後に災厄にあうといわれた。
- ただ怖いだけでなく、道を通る人に「ここは注意すべき場所だ」と知らせる信仰でもあったのだろう。
各地のバリエーション
- 徳島県:
袖もぎ様を祀る祠があり、そこでは転ばなくても、前を通るときに片袖を取って供えなければならないとされた。 - 香川県三豊市周辺:
袖モジキ と呼ばれ、旅人が木の枝を折って手向ける習わしがあった。袖ではなく枝を供える点が特徴。 - 千葉県成田市:
旧成田街道に 袖切坂 と呼ばれる坂がある。この坂で転べば、袖を切り捨てなければならなかったという。 - 静岡県浜松市:
都田町に 袖切橋 があり、ここでも転んだ場合は袖を切り捨てないと災厄にあうとされた。
現代作品での登場
- ぬらりひょんの孫
「袖モギ様」という妖怪が登場する。ただし、作品内では呪いを使う妖怪としてアレンジされており、路傍の神そのものとは性格が異なる。
リンク
別名
- 袖もぎさん
- 袖モジキ
- 袖切り
- 袖切
関連妖怪
- 袖引小僧
袖に関わる妖怪。袖もぎ様が「袖を奪う」存在なのに対し、袖引小僧は袖を引く怪異として近い。
- 柴神
袖もぎ様の信仰は、道中の安全を祈って柴や草を手向ける柴神と近い性格を持つ。
- 道祖神
道や村境にまつられる神。袖もぎ様も、道端や境界の信仰と関係する。
- 塞の神
外から来る災いを防ぐ境界の神。路傍の神としての袖もぎ様と近い。
- 道通様
道に関わる神として関連する。旅や通行の安全に関わる点が共通する。
妖怪検定ポイント
- 読みは そでもぎさま。
- 妖怪というより、路傍の神・民間信仰系。
- 前で転ぶと、災い避けに片袖を供える。
- 徳島県では、通るだけでも片袖を供えるとされた。
- 香川県では 袖モジキ と呼ばれ、枝を手向ける習わしがある。
- 袖切坂・袖切橋のような地名とも関係する。
- 関連は、柴神・道祖神・塞の神など。