シチは沖縄本島北部・山原に伝わる、霧や雲のように姿の定まらない怪異。山道を塞ぎ、人を迷わせるシチマジムンの伝承、別名、塗壁との共通点を解説します。

シチ
概要
- シチは、沖縄本島北部の山原地方に伝わる、山道で人を迷わせる怪異です。
- 沖縄でいうマジムン系の怪異の一つで、特定の人や獣の姿を持たず、道を阻み、人を連れ去るように迷わせる存在として語られます。
姿
- はっきりした姿はないとされます。
- 雲、霧、風、ぼんやりした霊のようなものとして現れます。
- 山道では、道いっぱいに広がる真っ黒なものとして行く手を塞ぐといいます。
能力・習性
- 山道を歩く人の行く手を阻み、進めなくする。
- 人に憑き、あらぬ方向へ連れ出して迷子にする。
- 風のように、戸の小さな隙間からでも出入りするとされる。
- 直接人を傷つける怪異ではないとされる一方、長期間迷わせたり、墓穴へ閉じ込めたりするため厄介な存在です。
代表的な伝承
- 沖縄本島北部・山原のクルク山周辺では、山道を歩く人の前に黒いものが立ちはだかり、先へ進めなくなるという。
- それはシチ、またはシチマジムンの仕業であり、憑かれた人は別の方向へ連れ去られ、一週間から二週間ほど迷うことがある。
- シチに出会った際は、草木にしがみつき、夜明けの鶏の声を待てば離れると伝えられる。
- 伝承上は、男性は褌、女性は袴を外して振る、または頭にかぶる方法も語られている。
各地のバリエーション
- 沖縄県国頭郡:ヒチ/ヒチマジムン
海の怪をヒチマジムン、ヒイマジモノと呼び、夜道で筵を持つ者や櫛を挿した者を連れていくと伝えられます。 - 沖縄県内の別伝:ジームン
シチマジムンをジームンとも呼び、天まで届くほどの巨大な柱状の怪異として語る例があります。「ハチ、ハチ、ハチ」と唱えると退けられるとされます。
現代作品での登場
- なし
別名
- シチマジムン
- ヒチマジムン
- ヒチ
- ヒイマジモノ
- ヒキマジモノ
- シキマジモノ
- ジームン
関連妖怪
- 塗壁
福岡県遠賀地方に伝わる、道を塞いで人を通れなくする怪異。『決定版 日本妖怪大全』では、シチとよく似た存在として比較されています。
- 塗坊
長崎県壱岐島に現れる、進行を妨げる怪異。シチと同じく、旅人の前に立ちふさがる存在として本文中で類例に挙げられます。
- マジムン
沖縄で広く用いられる怪異・悪霊の総称。シチマジムンはその名のとおり、マジムン系の怪異として捉えられます。
- ムヌ/ムン
沖縄で語られる姿なき怪異・霊的存在。伝承によっては、シチやシキ、ヒチもムンの一種として扱われます。
妖怪検定ポイント
- 沖縄本島北部・山原地方に伝わる。
- 姿は雲、霧、風、黒い影のようなもので、一定しない。
- 山道を塞ぎ、人を迷わせる怪異。
- 人に憑き、長期間の迷子や取り隠しを引き起こすとされる。
- 塗壁、塗坊と同じく、旅人の進行を妨げる怪異として比較される。
- 国頭郡では、海の怪をヒチマジムンと呼ぶ伝承もある。