ちんちろりは、山口県岩国市に伝わる夜道の怪異。後ろから「加藤殿はちんちろり」と声をかけ、言い返す男の家までついてくる小坊主として語られます。

ちんちろり
概要
ちんちろりは、山口県岩国市に伝わる夜道の怪異です。
西宇治から岩国へ帰る途中の男の背後に現れ、「加藤殿はちんちろり」と声をかけたとされます。男が負けずに言い返すと、怪異は家までついてきて、最後には門の屋根の上で小坊主の姿を見せました。
人を傷つける怪物というより、言葉を返して相手の度胸を試すような、軽妙さと不気味さをあわせ持つ妖怪です。岩国では、人に負けまいとして言い返すときの「そういう者こそちんちろり」という言葉も、この怪談から生まれたといわれます。
姿
- 小坊主の姿で現れる。
- 門の屋根の上に立つ。
- にこにこと笑っている。
- 夜道では姿を見せず、まず声だけを聞かせる。
- 着物姿の人間に見えるが、正体は不明である。
能力・習性
- 日暮れた峠道で人の後ろにつく。
- 相手の名前を呼び、「ちんちろり」と声をかける。
- 言い返されると、同じ言葉を繰り返す。
- 相手が家へ帰るまでついてくる。
- 度胸のある者には感心し、笑って消える。
- 直接危害を加えるより、言葉と気配で人を試す怪異である。
代表的な伝承
- 岩国の加藤某が、西宇治から岩国へ帰る途中、道祖峠で後ろに人の気配を感じた。
- 背後から「加藤殿はちんちろり」と声がした。
- 加藤は「そういう者こそちんちろり」と言い返した。
- 二人は同じ言葉を繰り返しながら、加藤の家までたどり着いた。
- 加藤が門を閉めると、屋根の上に小坊主が立って笑っていた。
- 小坊主は「さても強い者じゃ」と言い、消え去った。
各地のバリエーション
なし
現代作品での登場
- なし
別名
- なし
関連妖怪
- べとべとさん
夜道で背後についてくる妖怪。姿より気配や足音で人を不安にさせる点が近い。
- ずんべら坊
夜道で人の歌や言葉をまねる顔なし妖怪。人の声を利用して驚かせる点で共通する。
- 後神
人の背後に取り憑き、行動を鈍らせる妖怪。背後から迫る怪異として比較できる。
- 送り狼
夜道を歩く人の後をついてくる妖怪。ちんちろりとは性質が異なるが、帰路につきまとう怪異として関連する。
妖怪検定ポイント
- 読みは「ちんちろり」。
- 山口県岩国市に伝わる夜道の怪異。
- 小坊主の姿で現れる。
- 「加藤殿はちんちろり」と声をかける。
- 言い返す男を家まで追い、最後に度胸を褒めて消える。
- 岩国の言い返し表現の由来ともされる。