河童火やろうは、河童が「火を貸せ」と言って人間に近づく笑い話系の伝承。実は「尻を貸せ」と言っていたという言葉遊びと、火を嫌う河童の弱点を解説します。

河童火やろう(かっぱひやろう)
概要
- 河童火やろうは、河童が火を借りに来るように見える笑い話系の伝承。
- 読みは「かっぱひやろう」。
- 河童は火を嫌うとされるが、この話では河童が「火を貸せ」と言って人間に近づいてくる。
- しかし実際には「火を貸せ」ではなく、「尻を貸せ」と言っていたという言葉遊びになっている。
- 河童の尻子玉取りや、河童の弱点である火の性質が、民話的なユーモアとして語られたものといえる。
姿
- 河童火やろうに現れる河童は、見慣れない可愛い子どもの姿でやってくる。
- いきなり「火を貸せ」と頼んでくるため、最初は人間の子どものようにも見える。
- しかし、その正体は川や水辺に棲む河童である。
- 河童は一般に、頭の皿、背中の甲羅、水かきのある手足を持つ妖怪として知られる。
- この話では、河童らしい異形の姿よりも、「子どもに化けて人間に近づく不気味さ」が中心になる。
- かわいい子どもの姿で来るからこそ、正体が河童だったとわかる場面に民話らしい怖さと笑いがある。
能力・習性
- 河童は人間に近づき、言葉をかける。
- 「火を貸せ」と聞こえる言葉で、家の者を惑わせる。
- 実際には「尻を貸せ」と言っており、尻子玉取りを狙っていたと解釈される。
- 河童は火を嫌うため、本物の火を差し出されると逃げてしまう。
- つまりこの伝承では、河童の恐ろしい性質と弱点が、言葉遊びとしてまとめられている。
- 河童が人間をだまそうとして、逆に人間の勘違いによって退けられる話である。
代表的な伝承
あるところに夫婦が住んでいた。
妻が一人でいるところへ、見慣れない可愛い子どもがやってくる。
子どもは、いきなり「火を貸せ」と言った。
妻は「子どもに火は危ないから」と言って断る。すると子どもは、そのまま帰っていった。
ところが翌日も、同じ子どもがやってきて、また「火を貸せ」と言う。
同じことが何度も続いたため、妻は夫に相談した。
夫は、それは人間ではなく河童だろうと考えた。
そして、次に来たら火をやってみればいいと言う。
翌日、子どもがまたやって来た。
妻が「河童、火やろう」と言って火を差し出すと、子どもは「いえいえ、ごめんなさい」と言って逃げていった。
実はこの話で河童が言っていたのは、「火を貸せ」ではなく「尻を貸せ」だった。
人間がそれを「火」と聞き違えたことで、結果的に河童が嫌う火を差し出し、河童を撃退することになったのである。
各地のバリエーション
- 河童火やろうの笑い話型
河童が「火を貸せ」と言って近づくが、実は「尻を貸せ」と言っていた、という型の話。具体的な地域名よりも、各地に伝わる河童笑話の一つとして語られる。 - 火を嫌う河童の伝承
河童は火を嫌うとされる。そのため、人間が火を差し出すことで河童を退ける話が生まれた。 - 南島の河童系妖怪との比較
奄美諸島のケンムン、沖縄のキジムナーやブナガヤなど、南方の河童系妖怪には火を灯すものもいるとされる。河童一般は火を嫌うとされる一方で、地域によって火との関係は一様ではない。
現代作品での登場
- なし
別名
- 河童火やろう
- 河童火遣ろう
- 火を貸せの河童
- 尻を貸せの河童
関連妖怪
河童の派生妖怪や地域ごとの類似妖怪は非常に多い。
猿猴、ガラッパ、シバテン、ケンムン、九千坊、祢々子河童など、河童系妖怪をまとめて知りたい場合は、以下の記事で整理している。
ここでは、河童火やろうの理解に関係が深い周辺要素を挙げる。
- 河童
河童火やろうの中心となる妖怪。水辺に棲み、人や馬を水中へ引き込む一方、笑い話では人間にやりこめられることもある。
- 河童の尻子玉取り
河童が人間の尻子玉を抜くという恐ろしい伝承。「尻を貸せ」という言葉遊びの背景にある重要な河童伝承である。
- 河童から身を守る方法
河童を退けるための民間伝承。火、金物、瓢箪、呪文など、河童の弱点や対処法を整理するうえで関連が深い。
- 河童の詫び証文
悪さをした河童が人間に捕まり、二度と害をなさないと約束する伝承。河童火やろうと同じく、河童が人間に負ける話として近い。
- 河童文字
河童が人間をだます手紙や不思議な文字の伝承。河童の知恵やいたずらの面を示す点で、河童火やろうと関連する。
- ケンムン
奄美群島の河童系妖怪。火との関わりが語られることがあり、河童火やろうと比較しやすい。
- キジムナー
沖縄の木の精・妖怪。火を灯す伝承を持つことがあり、河童と火の関係を考えるうえで参考になる。
妖怪検定ポイント
- 読みは「かっぱひやろう」。
- 河童が「火を貸せ」と言って人間に近づく笑い話系の伝承。
- 実際には「火を貸せ」ではなく、「尻を貸せ」と言っていたという言葉遊びになっている。
- 河童は火を嫌うため、人間が火を差し出すと逃げてしまう。
- 尻子玉取りの伝承と関係が深い。
- 恐ろしい河童を、ユーモラスに語る民話として覚えるとよい。
- 奄美や沖縄の河童系妖怪には、火を灯すものもいるとされ、河童と火の関係には地域差がある。