
『妖怪の飼育員さん』は、藤栄道彦による妖怪漫画です。
舞台となるのは、人間社会の中に存在する「妖怪園」。主人公の鳥月日和は、妖怪医師・陸奥吾郎の指導のもと、妖怪たちの飼育を担当することになります。
本作の面白いところは、妖怪をただの怪異としてではなく、動物園の動物のように「飼育」「展示」「保護」の対象として描いている点です。すねこすり、雪女、さとり、河童、山童、がしゃどくろ、九尾の狐など、日本の有名妖怪が多数登場し、それぞれの性質や伝承をもとにしたユニークな描写が楽しめます。
この記事では、公式配信ページなどで確認できる主要妖怪を中心に、『妖怪の飼育員さん』に登場する妖怪の元ネタを紹介します。
※原作には、この記事で紹介した以外にも単発登場の妖怪・怪異がいる可能性があります。本記事では、確認できる主要妖怪・固有名のある妖怪を中心にまとめています。
- すねこすり
- 雪女・寒菊
- つらら女・寒梅
- 青北風/鞍馬山僧正坊
- ケンタウロス・ハリー/ナタリア
- 単眼族・つぶら
- さとり/玃
- 河童
- 山童
- 浪小僧
- 吸血鬼・ドロシー
- デュラハン・キリアン
- リャナン・シー
- 餓者髑髏
- 姥ヶ火
- 九尾の狐
- 太歳
- 牛魔王
- 紅孩児
- 饕餮
- 孫悟空
- 神野悪五郎
- ぬらりひょん
- 刑天
- 一目五先生
- 百目
- まとめ
すねこすり
作中での描かれ方
すねこすりは、主人公・鳥月日和が初めて担当する妖怪です。
人間の足元にまとわりつくような小さな妖怪として描かれ、妖怪園で飼育される存在として登場します。
元ネタ妖怪
すねこすり。
妖怪概要
すねこすりは、夜道を歩く人の足元にまとわりつき、歩きにくくさせる妖怪です。
岡山県などの伝承で知られ、犬や小動物のような姿で語られることがあります。
人を襲う恐ろしい妖怪というより、足元にじゃれついてくるような身近な怪異として人気があります。
作中でも、妖怪園で飼育される小さな妖怪として、親しみやすい存在にアレンジされています。
雪女・寒菊
作中での描かれ方
寒菊は、雪女の妖怪として登場します。
寒さに強く、冬に活動する妖怪として描かれ、妖怪園では飼育・管理の対象となっています。
作中では、単なる恐怖の対象ではなく、気候や温度管理が必要な妖怪として扱われる点が特徴です。
元ネタ妖怪
雪女。
妖怪概要
雪女は、雪の日や吹雪の夜に現れる女性の妖怪です。
美しい女性の姿で現れ、人間を凍らせたり、命を奪ったりする存在として語られます。
一方で、雪女が人間の男性と結婚する話もあり、恐ろしさと哀しさをあわせ持つ妖怪です。
『妖怪の飼育員さん』では、その冷気や冬の妖怪としての性質が、飼育設定に活かされています。
つらら女・寒梅
作中での描かれ方
寒梅は、つらら女を元ネタとする妖怪として登場します。
雪女と近い性質を持つ、寒さや氷に関わる妖怪として描かれます。
元ネタ妖怪
つらら女。
妖怪概要
つらら女は、氷柱が女性の姿になった妖怪です。
寒い地方の伝承に見られ、冬の厳しさや氷の美しさを象徴する存在です。
雪女と似た印象を持ちますが、つらら女は「氷柱」という具体的な自然物が変化した妖怪として語られる点が特徴です。
青北風/鞍馬山僧正坊
作中での描かれ方
青北風は、鞍馬山僧正坊とも呼ばれる烏天狗として登場します。
烏天狗は、山や修験道と関わりの深い妖怪で、本作でも特別な力を持つ存在として扱われています。
元ネタ妖怪
烏天狗、鞍馬山僧正坊。
妖怪概要
烏天狗は、カラスのようなくちばしや翼を持つ天狗です。
山に棲む妖怪・神格的存在として知られ、修験道や山岳信仰と深く結びついています。
鞍馬山僧正坊は、京都の鞍馬山に関わる大天狗として有名です。
牛若丸に剣術を教えた天狗として語られることもあります。
ケンタウロス・ハリー/ナタリア
作中での描かれ方
ハリーやナタリアは、ケンタウロスとして登場します。
日本妖怪ではなく、西洋神話・伝承に由来する存在ですが、本作では妖怪園の世界観の中に組み込まれています。
元ネタ怪物
ケンタウロス。
妖怪概要
ケンタウロスは、上半身が人間、下半身が馬の姿をしたギリシャ神話の怪物です。
弓や槍を扱う半人半馬の種族として知られ、神話やファンタジー作品にもよく登場します。
日本妖怪ではありませんが、『妖怪の飼育員さん』では海外由来の怪物も妖怪園の住人として登場します。
単眼族・つぶら
作中での描かれ方
つぶらは、単眼族として登場します。
一つ目を持つ存在として描かれ、日本の一つ目妖怪とも近い印象を持つキャラクターです。
元ネタ怪異
単眼族。
※リンクは一つ目小僧
妖怪概要
単眼族は、一つ目を持つ異形の存在です。
日本妖怪では一つ目小僧や一つ目入道、西洋ではキュクロプスのような単眼の巨人が知られています。
「目が一つ」という特徴は、世界各地の怪異や伝承に見られるモチーフです。
さとり/玃
作中での描かれ方
さとりは、人の心を読む妖怪として登場します。
元ネタ妖怪
さとり。
妖怪概要
さとりは、人の心を読む妖怪です。
山中に現れ、人間が考えていることを次々と言い当てるとされます。
心を読まれるため、人間は何をしても先回りされてしまいますが、無意識の行動には対応できないという話もあります。
作中では、心を読む能力が妖怪の生態として扱われます。
河童
作中での描かれ方
河童は、妖怪園で飼育・展示される妖怪として登場します。
『妖怪の飼育員さん』の世界では、河童も動物園の動物のように世話をされる存在です。
元ネタ妖怪
河童。
妖怪概要
河童は、川や池に棲む水辺の妖怪です。
頭の皿、甲羅、くちばしのような口を持つ姿で描かれることが多く、日本で最も有名な妖怪の一つです。
人を水中に引き込む恐ろしい存在として語られる一方で、相撲好き、きゅうり好き、義理堅い妖怪としても知られます。
本作では、水辺の生き物としての性質が飼育描写に活かされています。
山童
作中での描かれ方
山童は、河童に近い存在として登場します。
山に棲む妖怪として扱われ、自然の中で暮らす妖怪の一種として描かれます。
元ネタ妖怪
山童。
妖怪概要
山童は、山に棲む子どものような妖怪です。
地域によっては、河童が秋になると山に入り山童になり、春になると川へ戻って河童になると語られます。
山と川を行き来する妖怪として、河童と深い関係を持つ存在です。
浪小僧
作中での描かれ方
浪小僧は、妖怪園に登場する妖怪の一つです。
名前の通り、水や波に関わる妖怪として扱われていると考えられます。
元ネタ妖怪
浪小僧。
妖怪概要
浪小僧は、波や水辺に関わる小僧姿の妖怪です。
海や川など、水のある場所に現れる妖怪として語られます。
知名度は高くありませんが、水辺の妖怪として河童や海の怪異と並べて紹介しやすい存在です。
吸血鬼・ドロシー
作中での描かれ方
ドロシーは、吸血鬼として登場します。
日本妖怪ではなく、西洋由来の怪異ですが、本作では妖怪園の一員として扱われています。
元ネタ怪異
吸血鬼。
妖怪概要
吸血鬼は、人間の血を吸う怪物です。
ヨーロッパの伝承に由来し、ドラキュラ伯爵のイメージによって世界的に有名になりました。
夜に活動し、日光や十字架、ニンニクを苦手とするなど、さまざまな特徴があります。
『妖怪の飼育員さん』では、海外の怪異も妖怪園の世界観に組み込まれています。
デュラハン・キリアン
作中での描かれ方
キリアンは、デュラハンとして登場します。
首のない騎士のような姿で知られる、海外由来の怪異です。
元ネタ怪異
デュラハン。
妖怪概要
デュラハンは、アイルランドなどの伝承に登場する首なしの妖精・怪異です。
自分の首を抱えた騎士の姿で現れ、死の予兆とされることがあります。
日本妖怪ではありませんが、首のない怪異という点では、首にまつわる日本の妖怪とも比較しやすい存在です。
リャナン・シー
作中での描かれ方
リャナン・シーは、海外由来の妖精・怪異として登場します。
芸術家や人間に関わる妖精として知られ、本作でも特殊な存在として扱われます。
元ネタ妖精
リャナン・シー。
妖怪概要
リャナン・シーは、アイルランド伝承に登場する美しい女性の妖精です。
芸術家に霊感を与える一方で、相手の生命力を奪う存在として語られます。
餓者髑髏
作中での描かれ方
餓者髑髏は、巨大な骸骨の妖怪として登場します。
元ネタ妖怪
がしゃどくろ。
妖怪概要
がしゃどくろは、巨大な骸骨の妖怪です。
戦死者や野垂れ死にした人々の怨念が集まって生まれるとされ、人間を襲う恐ろしい妖怪として知られます。
名前は、骨が「がしゃがしゃ」と鳴る音に由来するとされます。
姥ヶ火
作中での描かれ方
姥ヶ火は、火に関わる妖怪として登場します。
人魂や怪火のような存在として扱われる妖怪です。
元ネタ妖怪
姥ヶ火。
妖怪概要
姥ヶ火は、老婆にまつわる怪火の妖怪です。
火の玉のように現れる妖怪で、怪火系妖怪の一種といえます。
日本の妖怪には、鬼火、狐火、人魂など、火の姿で現れるものが多くあります。
姥ヶ火もその流れにある妖怪として紹介できます。
九尾の狐
作中での描かれ方
九尾の狐は、妖怪園に登場する強力な妖怪の一つです。
元ネタ妖怪
九尾の狐。
妖怪概要
九尾の狐は、九本の尾を持つ狐の妖怪です。
中国や日本の伝承に登場し、美女に化けて国を乱す大妖怪として語られることがあります。
日本では、玉藻前伝説と結びつき、妖狐の中でも特に有名な存在です。
知恵・変化・妖力を持つ強大な狐妖怪として、多くの創作作品にも登場します。
太歳
作中での描かれ方
太歳は、中国由来の怪異・神格として登場します。
日本妖怪というより、中国の伝承に関わる存在です。
元ネタ怪異
太歳。
妖怪概要
太歳は、中国の信仰や怪異に登場する存在です。
暦や方位、災厄と関わる神格として扱われることもあります。
日本妖怪とは系統が異なりますが、『妖怪の飼育員さん』では中国由来の妖怪・怪異も登場します。
牛魔王
作中での描かれ方
牛魔王は、中国由来の妖怪として登場します。
『西遊記』に登場する強大な妖怪として知られる存在です。
元ネタ妖怪
牛魔王。
妖怪概要
牛魔王は、中国の古典小説『西遊記』に登場する牛の妖怪です。
孫悟空の義兄弟ともされる強力な妖怪で、妻に羅刹女、子に紅孩児がいます。
日本の妖怪というより、中国文学に由来する妖怪ですが、東アジアの妖怪文化を語るうえでは重要な存在です。
紅孩児
作中での描かれ方
紅孩児は、牛魔王に関わる存在として登場します。
炎を操る妖怪として知られています。
元ネタ妖怪
紅孩児。
妖怪概要
紅孩児は、『西遊記』に登場する妖怪です。
牛魔王と羅刹女の子で、強力な火炎を操る存在として描かれます。
炎を吐く少年妖怪というイメージがあり、中国妖怪の中でもキャラクター性の強い存在です。
饕餮
作中での描かれ方
饕餮は、中国神話・中国妖怪に関わる存在として登場します。
強欲や大食のイメージを持つ怪物です。
元ネタ怪物
饕餮。
妖怪概要
饕餮は、中国神話に登場する怪物です。
何でも食べる貪欲な怪物として知られ、古代中国の青銅器にも饕餮文と呼ばれる文様が見られます。
日本妖怪ではありませんが、東アジアの怪異・怪物として、妖怪作品に登場することがあります。
孫悟空
作中での描かれ方
孫悟空は、中国由来の妖怪・神仙的存在として登場します。
『西遊記』の主人公として有名な存在です。
元ネタ妖怪・神仙
孫悟空。
妖怪概要
孫悟空は、『西遊記』に登場する猿の妖怪・仙人です。
觔斗雲に乗り、如意棒を操り、七十二変化の術を使うなど、非常に強い力を持ちます。
日本では妖怪というより物語上の英雄として知られていますが、もともとは石から生まれた猿の怪異的存在でもあります。
神野悪五郎
作中での描かれ方
神野悪五郎は、強力な鬼・魔王的存在として登場します。
日本の妖怪・鬼神伝承に関わる存在です。
元ネタ妖怪
神野悪五郎。
妖怪概要
神野悪五郎は、日本の鬼・魔王的存在として語られる妖怪です。
名前の通り、悪鬼・魔王のような性格を持つ存在として扱われます。
ぬらりひょん
作中での描かれ方
ぬらりひょんは、人気妖怪として登場します。
元ネタ妖怪
ぬらりひょん。
妖怪概要
ぬらりひょんは、老人の姿で現れ、いつの間にか家に入り込んでくつろぐ妖怪です。
近年では「妖怪の総大将」として描かれることも多く、妖怪作品では重要なポジションを与えられがちな存在です。
本作でも、知名度の高い妖怪として登場します。
刑天
作中での描かれ方
刑天は、中国由来の巨大な妖怪として登場します。
元ネタ怪異
刑天。
妖怪概要
刑天は、中国神話に登場する巨人です。
首を斬られてもなお、乳首を目、へそを口として戦い続けた存在として知られます。
首を失っても戦う姿から、強い執念や反抗の象徴として語られることがあります。
日本妖怪ではありませんが、中国怪異として非常にインパクトのある存在です。
一目五先生
作中での描かれ方
一目五先生は、中国妖怪として登場します。
くらげバンチ関連の告知では、「雪女VS一目五先生」として紹介されています。
元ネタ怪異
一目五先生。
妖怪概要
一目五先生は、中国由来の怪異・妖怪として扱われる存在です。
日本ではあまり知られていませんが、本作では中国妖怪の一体として登場します。
『妖怪の飼育員さん』は、日本妖怪だけでなく、中国妖怪や西洋怪異も取り入れているため、妖怪文化の広がりを楽しめる作品になっています。
百目
作中での描かれ方
百目は、多数の目を持つ妖怪として登場します。
レビュー記事などでも、妖怪園で百目が登場する場面が紹介されています。
元ネタ妖怪
百目。
妖怪概要
百目は、体中に多くの目を持つ妖怪です。
百々目鬼と似た印象を持ち、無数の目によって人を驚かせる異形の妖怪として描かれます。
「目」は妖怪において重要なモチーフで、一つ目小僧、目目連、百々目鬼など、目に関わる妖怪は数多く存在します。
まとめ
『妖怪の飼育員さん』の魅力は、妖怪を「倒すもの」や「怖がるもの」としてではなく、「飼育し、観察し、共に暮らす存在」として描いている点です。
妖怪の元ネタを知ってから読むと、作中での飼育方法や性格づけ、能力の描写がより楽しめます。
妖怪そのものに興味がある人にも、妖怪漫画が好きな人にもおすすめできる作品です。